役職は「天使の歌声」?葬儀社が葬儀で歌うソプラノ歌手を大募集中!

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「ソプラノシンガーを募集」という求人を出している企業がある。募集企業はなんと葬儀社だ。

求人を出しているのは福島県いわき市にある葬儀社のソシオあすか。

同社では一般的な葬儀はもちろん、遺族の要望に応えた個性的な葬儀をプロデュースすることを強みとしている。

具体的には、葬儀でBGMを生演奏で提供したり、故人の作品を展示して個展を開いたり、さらには故人の好きな食材でフランス料理にアレンジした料理を提供したりといったことを行なってきた。

専属のシェフがフランス料理を作るコースもあるという。

http://www.socio-aska.co.jp/

ソシオあすか

そして今回、葬儀の場で歌う専属のスタッフを、常勤の正社員として採用したい考えがあるという。

その役職名は、セレモニースタッフ「天使の歌声」担当だ。

葬儀にソプラノシンガーという組み合わせは、宗教や地域のしきたりに沿った葬儀が当たり前と考えてきた者にとっては結びつかないものだが、シンガーがいると、いったいどんな葬儀になるのだろうか。

求人募集の背景を、代表取締役社長の藁谷聡さんにきいた。

http://www.socio-aska.co.jp/

ソシオあすか

葬儀では社長がBGMを生演奏

近年行われている葬儀では、お通夜や告別式で故人の好きな曲をBGMとして流すことは珍しくなくなってきたが、同社では18年前からデジタルピアノやシンセサイザーでBGMを生演奏するサービスを提供してきたという。

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ソシオあすか

「BGMでの生演奏は、当時、福島のいわき市という田舎では画期的だったようです。それ以来、BGMの生演奏は弊社の代名詞のように浸透し、故人の冥福を祈り、社長自らBGMを演奏する珍しい葬儀社、と言われるまでになりました」

遺族からは様々な曲の要望があり、クラシックからポップス、アニソンまでを葬儀の場に合うようアレンジして演奏している。

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ソシオあすか

「たまに『えっ、コレどうよ?』と思うような賑やかな曲、派手な曲も依頼されますが、基本的には故人とのお別れの場にふさわしくなるよう、静かな曲調にアレンジしています」

同社が以前から行なってきた生演奏のサービスにボーカルを加えようと考えたのが、今回のソプラノシンガーの募集ということだ。

心のこもった葬儀のために常勤シンガーを希望

人前で歌をうまく歌える人材なら、葬儀の機会ごとに登場するシンガーでも良いのでは、とも思うが、藁谷さんはあくまで常勤のシンガーを希望しているそう。

しかも、遺族と関わっているスタッフが歌うという方法を望んでいる。

「『昨日までご遺族とお葬式の打ち合わせをしていたスタッフ』や『さっき、式場でご焼香のご案内をしていた女性』が大切な家族のために歌ってくれるというほうが『重み』や『温かさ』が伝わると思うんです。多少素人っぽさが出たとしても」

一般的に身内が亡くなり葬儀を出すとなると、葬儀社との関わりは亡くなったその日から告別式が終わるまでの間となる。この期間はおおよそ1週間足らずだ。

「わずかな日数で、ご遺族が抱える胸の内をくみ取って形にするのが私たちの仕事です。

生意気なことを言うようですが、お葬式のときだけポンッ!と現れて30分や1時間歌って帰る、なんていうシステムでは心がこもった演出なんてできるわけがない、と思っているからです」

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ソシオあすか

「歌う」というスキルの他にあると望ましいのは「傾聴」の姿勢だという。

「この業界、話上手よりも聞き上手のほうが好かれます。遺族の心のサポートを提供する活動に『グリーフケア』という概念がありますが、もっぱら傾聴の作業が中心で、これに通じるものがあります」

葬儀会館に行くとPepparに会える

個性的な葬儀を実現する同社の姿勢がもうひとつ伺えるエピソードとして、相談係にロボットのPepparを導入したということがある。

「お客様から、葬儀会館に来る抵抗感を取り除いてあげたいという思いからPepperを採用しました。ロボットが人手不足を解消するとまではいきませんが、お客様の反応は上々です。

担当プランナーが説明するより、Pepperが説明したほうが真剣に話を聴いてくれます。『反応の良さではコイツに負けてる』と、ちょっと複雑な心境ではありますが…」

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ソシオあすか

個性的な葬儀は話題作りのためではなく、故人や遺族のためという姿勢を貫く。

ソプラノシンガーの募集も同社の気持ちの現れのひとつと言えそうだ。

「主役は、お坊さんや葬儀社のスタッフではなく、故人とご遺族です。私たちは目立ちすぎず、埋もれすぎず、というバランス感覚が重要ですね。本当はミュージカル仕立てのセレモニーなんてやれたらいいなって思ってますけど(笑)」

2016年7月現在、まだ採用には至っていないそう。プロとして歌うスキルを持ち、同社の考えに共感できる人は応募してみては。