『女オンチ。女なのに女の掟(ルール)がわからない』(深澤真紀/祥伝社)

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 女の世界には“掟”がある。女として生を受けたからには従うべし、とされる暗黙の了解とでもいうべきか。例えば、誕生日などの記念日をこまめにチェックしてプレゼントを贈ったり、人前に出るとき にはきちんとお化粧をしたり、その“掟”は多岐にわたる。しかし、その数ある“掟”、女であれば必ず理解しているものだろうか? どこか違和感を覚えながらも、みんながやっているからしかたなくやる…そんな人は「女オンチ」候補生だ。

 『女オンチ。女なのに女の掟(ルール)がわからない』(祥伝社)の著者・深澤真紀は、「草食男子」、「肉食女子」という言葉の生みの親である。本書は日経ウーマンオンラインの過去の連載に加筆・修正のうえ文庫化したものだ。「女オンチ」は造語で、女を生きることに対してまったく適性がないという意味。著者が自分自身のためにつくった言葉だ。本書は、誕生日・結婚式などの「イベント事情」、メイク・ファッションなどの「おしゃれ事情」、占い・ムダ毛処理の心理などの「女ゴコロ」、友達・夫との関係などの「人づきあい」、ダイエット事情などの「カラダ」の5つのパートに分けて、著者の完全無欠なまでの「女オンチ」っぷりが披露されている。

■「音姫」の衝撃

 著者が高校1年生の時 に心の底から衝撃を受けたこと、それは“女子がトイレで用を足すとき にその音を消すために水を流す”という事実を知った時だ。“用を足す音が恥ずかしい”という概念を著者は持ったことがないから理解ができない。しかしその後、トイレの音消し製品の“音姫”が普及し、世の日本女性の“トイレで気配を消したい”という感覚を思い知らされることとなった。現在に至っても著者にはこの感覚がわからない。

 ここで「女子力が高い」ランキングを紹介しよう。

 以下の10項目は、著者が見つけたとあるランキングサイトの調査。「これができていると女子力が高い」とされるものだ。

1位…1年を通してムダ毛処理を怠らない

2位…座っている時 の足は常に揃った状態

3位…着る服に合わせてメイクを変える

4位…浴衣の着付けができる

5位…飲み会の時 さりげなく皿を片付ける

6位…ブラとショーツは常にセット

7位…ポケットティッシュ・ウェットティッシュを常に携帯している

8位…カバンの中には裁縫道具

9位…定期的にネイルケア

10位…部屋着にも気を抜かない

「女オンチ」であれば全滅必至。さて、あなたはいくつあてはまっただろうか?

■女オンチvs.男オンチ

 本書の後半部分には、著者が「男オンチナンバー1」と認める、社会学者の古市憲寿氏との対談が掲載されている。古市氏が著者の「女オンチ」エピソードについて「そう、これはひどい。もう、ただひどい」と攻撃すれば、著者は「言わないでいいことばっかり言って、炎上しまくってる」と応酬。世代を超えたふたりの「オンチ」同士の、互いに歯に衣着せぬやりとりが繰り広げられる。しかし「今の世の中は最悪ではない」と考えている点ではふたりとも一致している。完璧な人間など存在しないのだから、多かれ少なかれ誰にでも存在している「オンチ」を面白がれればいい、そして、いろんなオンチが生きていける楽な世の中がよい、そんな風に対談は締めくくられる。

 本書を読んでいると、そんなまさか! という驚きと、そうそう、あるよね! という共感の両方を楽しむことができる。これを機に自分の中の「オンチ」とまっすぐに向かい合ってみよう。自虐に走らず自分の「オンチ」を愛することができたら、明日からもっと楽しく自信を持って生きられる…そんな気がするのは、私だけではないはずだ。

文=銀 璃子