少子化や、ゆとり教育の見直し、生活のIT化など社会状況の変化に伴い、子どもたちを取り巻く環境も大きく変化している。目まぐるしい時代の流れの中で、子どもたちの時間の使い方、意識や感覚はどうなっているのか。シチズンホールディングスでは「子どもの時間感覚」と題して、小学校高学年(4年生〜6年生)の子どもたちを対象にした調査を実施。分析に当たり、一部の設問を1981年(35年前)と2001年(15年前)に実施した同様の調査と比較することで、時間感覚の変化を捉えた。

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■「外で遊んでいる時間」は35年間で半減、テレビ離れも進む

まず、子どもたちが平日の一日に、さまざまな生活活動に使う「実際の時間」と「希望の時間」の平均を明らかにしてみた。〈実際の時間〉で目立つのは、「睡眠時間」と「外で遊んでいる時間」が35年前から減り続けていること。特に「外で遊んでいる時間」は35年前と比べて約半分(2時間11分→1時間12分)。“外で遊ばない子供”が増えてきているというのは、こうしたデータからも確かなようだ。

また、1981年から2001年にかけて増加した「テレビを見ている時間」も、2001年と比べて36分減少(2時間19分→1時間43分)した。生活の多様化による“若者のテレビ離れ”が叫ばれる昨今だが、小学生のライフスタイルにも影響が及んでいるのかもしれない。親子の会話に目を向けてみると1981年、2001年と同様に、「お母さんと話をする時間」が「お父さんと話をする時間」の約2倍。時代が変わっても、母親中心のコミュニケーションに変わりはないようだ。〈希望の時間〉を見ると、各項目とも〈実際の時間〉より増やしたいという結果となった。特に増やしたい時間が多いのは、「睡眠時間」(あと27分)、「外で遊んでいる時間」(あと23分)、「ゲームの時間」(あと22分)、「読書の時間」(あと18分)、「家で勉強する時間」(あと17分)、「お母さんと話をする時間」(あと16分)だった。

図表1

■大切な時間は1位「睡眠」、2位「食事」、3位「家族と一緒にいる」

子どもたちの一日(平日)の生活のなかで大切な時間、無駄な時間とはどんな時間なのかを調べるため、時間に対する“意識”を尋ねてみた。〈大切な時間〉は「睡眠」(51.8%)、「食事」(48.8%)、「家族と一緒にいる」(41.0%)がトップ3と、いずれも子どもの成長に大切な時間が上位に入った。こうした行為を大切な時間だと考える意識は、調査開始以来35年が経った今も変わっていない。ただし、「睡眠」を大切と考える割合は35年間で約15ポイント(66.6→51.8%)減少している。その他では、「家で勉強・読書する」時間(8位)が減少傾向(43.2%→25.2%→16.0%)となった。

〈無駄な時間〉は、「EメールやSNS」(47.0%)、「ゲーム」(37.3%)、「電話(携帯含む)」(34.8%)となった。1981年のトップ3項目(「音楽を聴く」「テレビを見る」「学習塾で勉強する」)と比べるとガラリと変わっており、35年間で生活様式が大きく様変わりした。「EメールやSNS」についてはあまり使わせないよう、親が管理しているのかもしれない。また「ゲーム」については、大切と考える子どもが、この15年で約13ポイントアップ(11.7%→25.0%)。一方で無駄な時間として挙げる割合も2位(37.3%)ということから、「無駄だと思っていても、なかなかやめられない」「制限されているからこそゲームをしたい」という子どもたちの心理を想像することができる。

図表2

■好きな時間は「帰宅後の自由時間」、嫌いな時間はいつの世も「学校に行くまでの朝時間」

子どもたちの好きな時間、嫌いな時間とその理由を訊いてみた。1981年と2001年の調査では、“好きな時間”のトップが午後3時頃の「学校が終わる間」であったのに対して、今回の調査ではそれよりも遅い時間(午後7時〜8時)が上位にきた。午後7時や午後8時を選んだ子どもたちの理由としては、「家族で晩ご飯の時間」(回答:午後7時)、「自由時間がはじまるから」(回答:午後7時)「テレビやゲームができるから」(回答:午後8時)、などが挙げられた。子どもたちが好きな時間は、学校や塾がひと段落して自由な時間を過ごせる「帰宅後の自由時間」と言えそうだ。

“嫌いな時間”帯は35年間で一貫して、午前6時〜8時までの「起きてから学校が始まるまでの朝時間」。朝の時間が嫌いなのは、いつの時代も変わらぬようである。また少数回答としては、午前0時や午前2時を挙げて「幽霊が出そう」という小学生らしいものもあった。

図表3

■約束時間は“時間キッカリ型”の傾向がより鮮明に

調査の結果、今も昔も約9割は友だちとの約束時間を守っているが、その中身には変化が見られる。約束時間ちょうどに着く“時間キッカリ型”の子どもたちが大幅に増え(5.4%→20.3%→29.8%)、全体の3分の1に。その分、「5分以上前」(43.5%→25.9%→22.3%)、「2〜3分前」(41.3%→42.8%→35.5%)の“時間余裕型”が減少した。2001年の調査で強まった“時間キッカリ型”の傾向が、より顕著になっている。

図表4

■もし1時間自由に使える時間があったなら、「ゲームをする」

約3分の1にあたる135人の子どもが、もし1時間自由に使える時間があったら「ゲームをする」と回答。「ゲームの時間」は〈大切な時間〉で5位、〈無駄な時間〉で2位と、相反する認識が共存していることが分かっているが、やはり子どもたちはゲームをしたいのが本音のようだ。子どもたちの生活に、それほどゲームが浸透していることがよく分かる。

次点では、「友だちと遊ぶ」(92人)、「読書」(33人)が上位となった。調査では「読書の時間」が1日平均29分と過去の調査と比べて低水準な結果となったが、「自由な時間が与えられたら、もっと本を読みたい」と考える子どもも少なくないようだ。少数回答としては、「ロボットを作る」、「タブレットでネットサーフィン」、「おばあちゃんと買い物に行く」といった意見もあり、自由な時間が与えられた際の、子どもたちの時間の使い方の多様さも浮かび上がった。

図表5

■時間の金銭価値は一層のデフレ化が進行!15年間で3分の1以下に

最後に、もし時間をお金で買えるとしたら1時間をいくらで買うかを訊いてみまた。その結果、平均金額は409円。1981年の調査開始以来、この35年間でデフレ化が進んでいる。特にこの15年間で、1時間の金銭価値が3分の1以下になったことが分かった。最も多かったのは「100円」(28.5%)で、以下「0円」(23.3%)、「500円」(18%)と続いた。500円以下の回答者が9割に迫る結果となった。近年のデフレ社会を反映してか、より現実的に時間の価値を考える子どもが増えたのかもしれない。

【調査概要】
調査期間:2016年3月4日〜3月6日
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査対象:全国の小学4年、5年、6年の男女400人
4年生132名(男子66名/女子66名)
5年生133名(男子67名/女子66名)
6年生135名(男子68名/女子67名)
※2001年調査:有効サンプル数290人(男子154人/女子136人)
※1981年調査:有効サンプル数317人(男子160人/女子157人)

文/編集部