2013年の統計調査(平成25年住宅・土地統計調査)で全国の空き家は820万戸に達し、2016年3月、国土交通省は2025年の空き家を400万戸に抑えると発表した。また、訪日外国人数が急増し、空き家の活用法の一つとして「民泊」が注目されていることを受けて、ALSOKは、近隣住民、不動産オーナー、利用者という3つの側面に立った「空き家・民泊に関する意識調査」を実施した。

空き家・民泊に関する意識調査

■自宅の近所や生活圏に空き家・空き部屋がある人は31.0% で、44.5%は空き家・空き部屋を快く思っていない

2013年の調査で、全国の空き家は820万戸と過去最高を記録した。自宅の近所や生活圏での空き家の有無について聞いたところ、31.0%の人が「空き家・空き部屋がある」と回答した。「空き家・空き部屋がある」と回答した人は、自宅の近所や生活圏にある空き家・空き部屋について、「不安だ」(32.3%)、「迷惑だ」(7.7%)、「汚い」(12.9%)、「危険だ」(15.5%)と感じており、44.5%の人が快く思っていないことかもわかった。また、25.8%の人は「もったいない」と感じていることがわかった。「不安だ」「迷惑だ」「汚い」と思う理由は、それぞれ6割以上の人が「庭木が伸びたり、郵便受けからチラシが溢れるなど景観が悪化するから」と回答している。

空き家・民泊に関する意識調査1 空き家・民泊に関する意識調査

空き家・民泊に関する意識調査

■半数以上の人が、空き家・空き部屋は 売却・賃貸物件として「誰かに定住してほしい」

自宅の近所や生活圏にある空き家について、どうしてほしいと思うか聞いたところ、「売却して誰かに定住してほしい」(45.8%)、「賃貸物件として誰かに定住してほしい」(30.3%)と、56.8%が不特定多数が出入りするのではなく、 誰かに定住してほしいと思っていることがわかった。一方、レストランやギャラリー、オフィス、民泊など、不特定多数の人が出入りする施設として活用することは、望まれていないことがわかった。

空き家・民泊に関する意識調査

2016年3月、国土交通省は新たな「住生活基本計画(全国計画)」を閣議決定し、人口減少などで今後も増加が見込まれる空き家を2025年度に400万戸程度に抑える目標を立て、既存住宅流通・リフォームの市場規模を倍の20兆円市場にするとした。また、国土交通省は、各自治体が個別に行なっている「空き家バンク」の情報を一元化し、全国の空き家や空き地の情報をインターネット上で検索しやすくし売買を容易にする試みを、早ければ2017年度に開始するとしている。

■「民泊」を知っている人は61.8%

円安やビザの発給要件緩和などの観光施策の強化、大規模な国際イベントの開催が決定したことなどによって、日本への関心が高まり、2015年の訪日外国人旅行客数は1973万7000人に達した。これを受けて政府は、「2020年に2000万人、2030年に3000万人」としてきた従来の目標を、「2020年に4000万人、2030年に6000万人」に拡大した。2015年の宿泊施設の客室稼働率は日本全体で60.5%、東京や大阪などの大都市や観光地のシティホテルでは8割を超え、慢性的に宿泊施設が不足している(宿泊旅行統計 調査、平成27年・年間値/速報値)。

こうした状況の中、民家の空き家や空き部屋を宿泊場所として提供する「民泊」が、宿泊施設不足を解消する手段の一つとして注目されている。「民泊」について質問したところ、意味を理解している人は61.8%で、「言葉のみ知っている」人を含めると82.0%に達し、関心の高さがうかがえた。

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■民泊の基準緩和は「ルールを作った上であれば賛成」が42.6%

国内の民泊物件は3万件超とみられているが、国家戦略特区に認定された東京都大田区の例などを除くほとんどが自治体の許可を得ていない。無許可営業が横行しており、近隣住民とのトラブルも相次いでいる。2016年4月、厚生労働省は旅館業法の施行令を改正し、民泊をカプセルホテルなどと同じ「簡易宿所」と位置付け、営業許可基準を緩和した。しかし、簡易宿所は住宅地で営業できないため、住宅地で民泊を提供したいという人たちから改正を望む声が挙がっていた。

厚生労働省と観光庁は2016年5月、現行法では営業が認められていない「住居専用地域」(住宅地)でも営業日数などの要件を満たせば、民泊の実施を容認する新制度を導入する方針を決定し、旅館業法改正案や新法案を2017年の通常国会に提出する方針としている。こうした状況を受け、民泊の基準緩和についてどう思うか聞いたところ、「緩和に賛成」(8.6%)、「ルールを作った上での緩和であれば賛成」(42.6%)となった。賛成意見が「緩和に反対」(23.2%)を大きく上回ってはいるが、条件付きで賛成という声が多い。

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また、どのようなルールがあれば基準を緩和してもいいと思うか聞いたところ、「防犯対策」(70.9%)、「防災対策」(50.2%)という安全安心に関するルールや、「騒音対策」(63.8%)、「地域のごみ集積所にごみを出さない」(46.0%)といった近隣住民とのトラブルを回避するためのルールや、「宿泊者のチェックアウト後には清掃業者を入れて清潔に保つ」(54.0%)といった衛生面を気にする声が多いことがわかった。

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■近隣の家や部屋の民泊利用は「安全安心が担保されたら賛成」が43.6%

自分の近所の家や部屋が民泊に利用されることについて聞いたところ、「賛成」(7.6%)、「安全安心が担保されたら賛成」(43.6%)を足した賛成意見が、「反対」(25.4%)を上回ったが、基準緩和と同様に条件付きで賛成という人が多く見られた。

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安全安心を担保するためにはどうしたらいいと思うか聞いたところ、「ルールの順守を法律や条例で徹底させる」(76.6%)、「罰則の強化」(44.5%)といった、ルールを守らせるために強制力を持たせることを希望する声が多く聞かれた。また、「防犯カメラや火災報知器の設置」(43.1%)を挙げた人も多く、設備面での安全安心の保障にも関心が高いことがわかった。このほか、「民泊の運営会社の管理」(40.4%)、「緊急の際は警備会社や管理会社が駆けつける体制を整える」(39.4%)など、トラブルが起きた際に頼れる第三者のサポートを求める声が挙がった。

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■「民泊として貸し出したい」不動産オーナーが「貸し出したことがある」を上回る

不動産を持っていると回答した人(164人)に、自分の不動産を民泊として旅行者などに提供したことがあるか聞いたところ、経験のある人は4.9%に止まった。また、自分の不動産を民泊として貸し出したいと思うか聞いたところ、「貸し出したい」という人は、「貸し出したことがある」人(4.9%)を上回る28.1%となった。

空き家・民泊に関する意識調査 空き家・民泊に関する意識調査

空き家・民泊に関する意識調査

このことから、不動産オーナーの中には、不動産活用法の一つとして潜在的な民泊の提供ニーズがあり、今後の基準緩和によって民泊が拡大することが予想される。

■民泊として貸し出したくない理由は「汚されそう」「近隣からの苦情」「防災面」の不安

民泊として貸し出したくない理由を聞いたところ、「物件を汚されそうだから」(59.3%)が最も多く、次いで「近隣住民からの苦情が心配だから」(45.8%)、「火の不始末などが心配だから」(45.8%)となった。ニュースやSNSを通じて、「チェックアウト後、掃除に入ったら汚かった」、「話し声がうるさい」、「夜中に間違えてインターホンを押された」などのトラブル話を耳にする機会が多いことから、敬遠する人が多いようだ。また、「清掃や鍵の受け渡しなど、自分だけでは管理しきれないから」(41.5%)と、運用面の手間を懸念する声もあった。

空き家・民泊に関する意識調査

■民泊利用経験者は3.8%で、35.0%の人は「どんな物件だろうが民泊は利用したくない」

民泊を利用したことがあるか聞いたところ、利用経験者は3.8%に止まった。また、今後利用してみたいかどうか聞いたところ、「利用してみたい」(17.4%)が「利用したことがある」(3.8%)を上回った。物件を供給するオーナーだけでなく、利用するユーザー側にも関心があり、潜在的な需要があることが判明した。

空き家・民泊に関する意識調査 空き家・民泊に関する意識調査

宿泊する立場で、どんな物件であれば利用したいか聞いたところ、35.0%は「どんな物件だろうが、民泊は利用したくない」と回答した。しかし、65.0%の人は、条件が整っていれば利用したいと回答。その条件は、「清掃が行き届いている」(38.2%)、「価格が安い」(36.6%)、「防犯対策がしっかりしている」(36.2%)の順となった。このほか、「管理者が明確になっている」(24.2%)、「防災対策がしっかりしている」(23.2%)を挙げた人も多くおり、「その国ならではの体験」や「デザイン性」といった情緒的な価値より、安全安心が重要視されていることがわかった。

空き家・民泊に関する意識調査

【調査概要】
調査対象:東京・大阪在住の30歳以上の男女500人
調査期間:2016年5月13日〜17日
調査方法:インターネット調査