米国連大使サマンサ・パワーが語る「情熱の源」、声を届ける立場は名誉なこと

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テロや病気、戦争や虐殺など、世界の脅威は増すばかりに思える。サマンサ・パワーは米史上最年少の国連大使として、この複雑かつ危険な世界でアメリカを代表して外交に取り組んでいる。ピューリッツァー賞の受賞歴もあるパワーは、ジャーナリストとしてのキャリアを経て、オバマ政権の国家安全保障会議のメンバーに入った。現在は残虐行為に苦しめられている世界中の人々を擁護し、また世界の指導者たちが直面する複雑でデリケートな問題を外交面から支援することに、日々取り組んでいる。

そのパワーが先ごろ開催された第4回フォーブス女性サミットで、人権擁護活動に携わる者としての自らの役割について語った。

苦しみから決して目をそらさない

パワーはアイルランドで生まれ、9歳の時にアメリカに移住した。90年代のある日、新聞を開くとバルカン半島で撮影された、痩せ細った男性の写真が目に飛び込んできた。餓死していく人々やボスニア北部の死のキャンプの写真に衝撃を受けた彼女は、何か行動を起こさなければと感じた。

「私には支援できるだけの技術も能力もなかった」と、当時大学スポーツ担当の記者だったパワーは言う。「非政府組織(NGO)で働いて、この恐ろしい暴力から逃れてくる難民たちを支援できないかとワシントンで聞いてまわった。だが経験もないのに何を言っているのかと笑われた」。それでも彼女は諦めず、ついにUSニューズ&ワールド・リポート誌の戦争特派員になり、バルカン半島に向かった。

変化を起こせるメッセンジャー

パワーはこれまで、世界で最も危険といわれる地域で仕事をしてきた。戦場に身を置くのは危険を伴うことだが、前線の様子を伝えることを「大きな負担だと感じたことは一度もない」という。

「より良い運命を与えられるべき人たちの声を届ける役割を担おうとしている…外からの支援を必死に求める人たちの、メッセンジャーなのだ」

国連に「人間味」を

「国連は全ての人をまとめる存在で、その存在がなければ私たちはエボラ熱やテロ、気候変動の問題に対処することはできない」とパワーは言う。「だがその国連も創設から70年で疲弊しており、多くの悪習が身についてしまった」

パワーにとっての優先課題は、国連にもっと『人間味』を持たせ、人々の関心を引きつけることだ。そして、国連がお決まりのやり方にとらわれないようにすることだ。例えば、パワーは先ごろ、過激派組織「イスラム国(IS)」に性奴隷にされていたナディアという女性を安全保障理事会に招き、講演をしてもらうための準備に携わった。

「この国の人たちに、彼女に共感するだけでなく、世界各地で起こっているこうした問題について、何らかの役割を果たしたいと思うようになってほしい」

「広く」よりも「深く」

人権や公共サービスに情熱を持つ若い人たちに向けてパワーは、「時として全てを一度に片づけたいとの思いを持つこともある」と語りかける。

「気候変動を終わらせ、政治犯たちを釈放させ、ジョセフ・コニー(ウガンダの反政府勢力のリーダー)を逮捕させ、南スーダンの飢饉に終止符を打ちたいと思うこともあるだろう」

だが、関心の対象が広すぎると、どの分野でも成果を上げることが難しくなる。

パワーはよく若いリーダーたちに、「何かについて詳しくなりなさい」「例えば、特定の地域における法的支援助の仕組み、退役軍人の支援、難民問題などについて詳しく学べば、あなたが発揮し得る影響力は、ぐんと大きくなる」と話すのだという。

「一つのことを深く掘り下げることだ。あなたがどのような問題に変化をもたらしたいか明確に心を決めた時、きっとそれが役に立つはずだ」