一方、副交感神経は交感神経の逆で、主に夕方から夜にかけて働く。休む時や食事をした時に活性化し、“ゆったり”“リラックス”の状態を作り出す神経で、疲労感を取り除く。具体的に言えば、心臓の拍動を遅くし、血管を拡張させ、呼吸を深くゆっくり安定させる。また、食後に胃の働きを活発化させ、消化を助ける役割もする。
 「この休息時、体内では白血球の一種であるリンパ球が、がんなどの異常細胞を攻撃して身体を防衛し、メンテナンスを行います。人間の身体は、このように自律神経が体内の細胞を極めて合理的に調整し、活動と休息に適した体調を作り上げているのです」(同)

 つまり、自律神経の修復が疲労回復の鍵となるわけだが、そのためにはどのような食生活を送ればいいのか。
 日本成人病予防協会の健康管理士はこう言う。
 「疲労回復に一番なのは鶏のムネ肉です。疲弊した自律神経を修復する『イミダペプチド』という物質が豊富に含まれているからです。渡り鳥が長い距離を飛び続けられるのも、イミダペプチドのお陰です。1日100グラムぐらいの摂取が目安となります」

 また、交感神経と副交感神経をそれぞれ刺激するものがある。交感神経を刺激する代表は塩だ。摂ると血圧も上がるが、体に活力をもたらす。副交感神経が優位になりがちな人などは必要となる。
 「一方の副交感神経を刺激し免疫力を高めるのは、ミネラルを豊富に含んだカルシウムやカリウムなどです。腸の煽動運動や腸内環境をよくする微生物を含む発酵食品や、苦味や酸味がある食品にも含まれる。疲れやすい人は、努めてこれらを摂る必要があります」(同)

 加えて、食事以外で疲労回復に効果的なのが入浴だという。
 「ただし、熱い湯は逆効果。脳に快感物質が分泌され、疲れが薄れてきたように感じるだけだからです。せいぜい40℃の湯に8分程度半身浴すれば、血行がよくなり疲れが取れます」(専門医)

 最後に重要なのが、睡眠だ。睡眠の重要さについては言い尽くされた感もあるが、現代人は睡眠不足の恐ろしさについての認識がまだまだ甘いという。
 「夜更かしや睡眠不足の生活スタイルは、はっきりと寿命に反映されます。夜は副交感神経が優位になり、血流を回復させて体の老廃物を流し、リンパ球が異常になった細胞の掃除をしてくれる。1日の疲れを取り去る大事な時間なのです。できれば6〜7時間は確保すること。これをおろそかにすると、交感神経の緊張が続き、脈は速まり、血圧も上昇し、血糖値も高くなる。行き着く先は高血圧症、糖尿病、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、がんなど、重大病につながってしまうのです」(同)

 「ヤル気まんまん」で疲れ知らずの人ほど、過労死の確率が高いと言われるのはそのためだ。そうならないためにも、日頃から自分の“疲労”を客観的に捉えておくことが大切だ。