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「熟年離婚」もあれば、「熟年再婚」もありーー。親が晩年を幸せに過ごせるのはいいけれど、ふと心配になるのが、遠からずやってくる遺産相続の問題。母親が熟年再婚したというミキさん(29)もそんな悩みをもつ1人です。

ミキさんの母(57)は最近、以前から交際していた男性(60)と結婚しました。男性は10年ほど前に、前妻と死別していますが、前妻の実家とは、大学生の長男・タカシさん(19)を介して交流が続いています。

しかし、男性が再婚しようとすると、前妻の親族が大反対。ミキさんの母親のことも「金目当て」「泥棒猫」とののしる始末だったそうです。さらに、前妻の親族は、タカシさんにミキさんの母親の悪口を吹き込んだり、資産状況の確認を企てたりしているようです。

ミキさんがいま心配しているのは、親の遺産相続で、いつの日かタカシさんと紛糾するかもしれないこと。ミキさんの母親も、タカシさんの父親も、不動産などの財産を所有しているからです。

しかし、ミキさんとタカシさんが顔を合わせる機会はほとんどなく、連絡先も知りません。「どことなく避けられているような気がして、万が一のとき、タカシさんとうまく話し合いをすすめる自信がありません。前妻さんも資産があったようなので、その財産が、タカシさんではなく、うちの母にいくことを好ましく思わない人もいるかと思うので・・・」と、ミキさんは不安を口にします。

「母と再婚相手の死後、モメないために、生前に何か打つべき手はあるのでしょうか」と、話しています。もし仮に、ミキさんの母が先に亡くなった場合、相続はどうなるのでしょうか? 水野智之弁護士に聞きました。

● 連れ子が相続人になるには、実親の再婚相手との養子縁組が必要

ミキさんの母親が先に亡くなり、再婚相手が母親の不動産を相続したという場合を考えてみます。その後に再婚相手が亡くなると、不動産はどうなるのでしょうか。

まず、連れ子(本件のミキさん)にはそもそも、実親の再婚相手の遺産を相続する権利がないのが原則です。相続の話し合いにも参加できません。相続人となるのは、民法上、被相続人の「子」などです。

連れ子が相続人となるためには、実親の再婚相手と「養子縁組」をしなければなりません。養子になれば被相続人の子と同じ立場になり、相続の話し合いにも参加できます。ほかの相続人も、連れ子を除外して相続の話を進めることはできません。

しかし今回のケースでは、ミキさんは、母親の再婚相手と養子縁組をしていないようです。もし今後、再婚相手の男性の生前中に養子縁組をするならば、男性の死後、不動産を相続する権利が生じます。もしくは、再婚相手の男性に、不動産を譲るという内容の遺言を書いてもらうことが考えられます。

ではもしも、ミキさんの母親が死亡した時点で、不動産を誰に相続させるか、何も遺言がなかった場合はどうなるのでしょうか。

このような場合、ミキさんの母親と再婚相手の子であるタカシさんが養子縁組をしているかどうかで分けて考える必要があります。養子縁組をしていない場合には、ミキさんと母親の再婚相手が相続人となりますので、2人で話し合って決めることになります。養子縁組をしている場合は、上記の2人に加えて、タカシさんも相続人となりますので、3人で話し合わなければなりません。

● 遺産相続でもめないために、遺言を作りましょう

次に、ミキさんの母親の再婚相手が先に死亡した場合、再婚相手が持っている財産の相続はどうなるのか考えてみましょう。

再婚相手が先に死亡した場合、相続人はミキさんの母と再婚相手の子であるタカシさんの2人になります。今回のケースで、ミキさんは再婚相手と養子縁組をしていないので、相続人にはなれません。

相続にあたって、ミキさんの母はタカシさんと相続の話し合いをしなくてはなりませんが、タカシさんは前妻の親族からいろいろ吹き込まれているようですから、話し合いが紛糾する可能性があります。こんな時も、生前に遺言をきちんと作っておけば安心です。

このように養子縁組していない場合は、相続で揉める可能性が高まります。養子縁組をしたケースでも、相続人となる人物が増えることになりますから、話し合いが紛糾するなどややこしくなります。

養子縁組するにせよ、しないにせよ、相続の際に揉めないように、弁護士等の専門家に相談して、遺言を作ってもらうとよいでしょう。



【取材協力弁護士】
水野 智之(みずの・ともゆき)弁護士
2007年弁護士登録。東京弁護士会所属。相続事件、離婚事件などの家事事件や交通事故事件を中心に幅広く事件を手がける。できるだけリーズナブルな弁護士費用を心がけている。
事務所名:遠藤治法律事務所
事務所URL:http://www.mizuno-law.com/