【枝豆のマメ知識】知られざるおいしい食べ方、品種、選び方

 祭りにプールに海水浴にと、とにかくイベントが目白押しなイメージが強い夏。すべて挙げればキリがないほど楽しみがいっぱいな時期だが、大人のたしなみといえばやはり、ビールに枝豆ではないだろうか。カラッカラにのどが乾くまで働いたあと、居酒屋にかけつけてクイッと一杯なんて、今こうして文字に起こしているだけでもすぐさま駆けつけたくなるほどだ。

 ところで、定番のつまみとしておなじみの枝豆について、みなさんはどこまで知っているだろうか。お通しに使われたり、悩むまでもなく「とりあえず!」と頼むことの多い枝豆だが、実は、意外と奥が深い食材でもある。

 今回は農家や家庭向けにさまざまなタネや苗、資材を販売する株式会社サカタのタネの広報宣伝部 広報宣伝課の大無田龍一さんにインタビュー。知っているようで知らなかった枝豆の“事実”が明らかに!

【枝豆のマメ知識】知られざるおいしい食べ方、品種、選び方

■栽培期間は80日前後。定番の青豆だけではなく茶豆、黒豆と種類がある

 じつは、枝豆にもいくつかの種類がある。一般的に多く流通しているのは鮮やかなグリーンの実とさやの白毛が目立つ「青豆」だ。居酒屋でもよく目にするタイプでもあり、3粒入りのさやが多く他のタイプと比べても「収穫量を期待できる」という特徴がある。

 一方、ここ最近では山形県庄内地方を中心に東北地方発の枝豆として人気を高めている“だだちゃ豆”などは「茶豆」と呼ばれる品種で、豆が薄茶色の薄皮をかぶっているため、ほんのり茶色がかって見えるのが特徴。大無田さんは「茹で上げた瞬間にゆがきたてのとうもろこしのようなほんのりとした甘い香り」だと話してくれたが、独特な風味が食欲をそそってくれる。

 そして、風味と食味が共に評価の高い「黒豆」は、枝豆のなかでもかなりレアな品種。枝豆の旬といえば“夏”のイメージも強いが、全体的には秋にかけて収穫されるものが多いという。

 枝豆の栽培期間は夏に収穫されるタイプでおおむね80日前後。じつは、今回ご協力頂いたサカタのタネでも2016年6月現在、オリジナル品種として9品種の種子を販売。栽培から収穫までの期間は早い方から「極早生」「早生」「中早生」「中生」「中晩生」と分けられている。

 サカタのタネでの代表的な品種はどちらも極早生から早生に分類される『おつな姫』と『いきなまる』で、大無田さんは「埼玉県や群馬県などを中心にたくさんの農家さんに愛されています」と話す。

【枝豆のマメ知識】知られざるおいしい食べ方、品種、選び方
『おつな姫』は甘みのある茶豆風味ながらも青豆のように収量性に富む品種

【枝豆のマメ知識】知られざるおいしい食べ方、品種、選び方
『いきなまる』はほんのりとした香りがあり、香りが強い品種が苦手な人に向いており、食べやすいと評判

■枝豆も採れたてがベスト。調理方法はやっぱり塩茹でを選びたい

 食べものはやはりおいしいと思える、その瞬間に食べたいと思うのが世の常である。しかし、こと枝豆についていえば、気が向いたときに食べられるよう大量に茹でて保存しておく場合も少なくないようにみえるが、大無田さんは、農家の方から「鍋に火をかけてから収穫に行け」という格言を聞いたことがあるそうだ。

 これは、とうもろこしやそら豆にもいえることだが、収穫すると枝豆の呼吸により糖分が分解されるためにどんどん鮮度が落ちていく。そのため、採りたてを食べるのがやはりいちばんおいしいというのだ。さっとゆがいて呼吸を止めることで、鮮度が保たれるということである。

 広報担当者として、自社カタログ制作の一貫で農家への取材経験もある大無田さん。おすすめの販売場所は「直売所」だという。その理由はやはり鮮度が決め手となるからだ。

 できれば朝採れのものがふさわしく、選び方としてはさやだけよりも枝付きのものの方がよい。さやは、パンパンに膨らんでいるものよりも適度に8割〜9割ほどのふくらみを持ったもの。家庭菜園などで枝豆を栽培する場合に、収穫を見きわめる目安にもなる。

 また、ジューサーなどですりつぶした冷や汁や枝豆ご飯など、たくさんのレシピも思い浮かぶがお酒のつまみとして考えたいのは、やはり王道な塩茹で。大無田さんが伝える農家さん直伝のおすすめ調理方法は以下のとおりだ。

・4〜5さやが付いた枝豆を枝ごと茹でる。引き上げる目安は沸騰後3〜5分程
・茹で上がったらミネラル分豊富な“岩塩”を塩の白さが映えるほどからめる

【枝豆のマメ知識】知られざるおいしい食べ方、品種、選び方

 塩茹でと聞くとあらかじめたっぷりと塩を揉み込むイメージもあるが、塩気が足りない場合はさやにからまった塩でお好みの味に調節。作りすぎてしまっても冷蔵庫で保存しておけば、翌日にはさらに塩が染みこむのでキンキンに冷えたビールと枝豆を、すぐさま楽しめるというわけだ。

【枝豆のマメ知識】知られざるおいしい食べ方、品種、選び方
畑で栽培されるサカタのタネの『いきなまる』

 最後に、枝豆はもともと大豆であるというのはご存知だろうか。昔は、稲が育つ田んぼのあぜ道で育てられることも多かったという。これは「畦畔(けいはん)大豆」と呼ばれるものだ。その由来は諸説あるものの、かつての日本で租税の代わりに年貢として米を収めねばならない百姓たちが、高タンパクで栄養価も高いといわれる大豆を主食の代わりにした名残りからきているそうだ。

 じつは今年、2016年は国連総会により食料安全保障と持続可能な食糧生産を目的とした「国際マメ年」も宣言されている。枝豆は今や“EDAMAME”として世界でも注目される食材だが、暑い日にぜひ、ビールと一緒に“こまめ”に楽しんでもらいたい。

◎取材協力
株式会社 サカタのタネ http://www.sakataseed.co.jp

取材/文 カネコシュウヘイ