中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の韓国人副総裁の解任について、韓国メディアは人選に問題があったとして、政府批判を強めている。資料写真。

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2016年7月16日、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の韓国人副総裁の解任をめぐり、韓国メディアが政府批判を強めている。韓国の分担金は37億ドル(約3900億円)で出資比率は加盟57カ国中5位。人選にそもそも問題があったとして、「4兆ウォン投じるのに副総裁ポストを飛ばしてしまうとは」との声も飛び出している。

AIIBの副総裁は5人。韓国出身の洪起沢(ホン・ギテク)氏のほか、英国、ドイツ、インド、インドネシアから1人ずつ選ばれている。5人はいずれも今年2月のAIIB発足と同時に就任した。洪氏は学者出身で、朴槿恵(パク・クネ)大統領の側近の1人。国策銀行の韓国産業銀行会長を経てAIIBに移った。

韓国メディアによると、洪氏は6月25日からの初のAIIB年次総会直前に6カ月の休職届を提出して姿を消した。AIIBは洪氏が担当していた最高リスク責任者(CRO)のポストを局長級に格下げする一方、これまで局長級だった最高財務責任者(CFO))のポストを副総裁級に格上げして公募する方針を打ち出し、韓国は副総裁ポストを失った。

この間の事情をハンギョレ新聞は、洪氏が産業銀行会長当時に関わった大宇造船の再建問題が背景にある、と報道。「中国は先月、大宇造船に対する不良管理および粉飾会計と関連して、洪副総裁が韓国検察の調査を受けている状況で副総裁職を遂行するのは適切でないとし、自主的辞任や休職をしなければ解任措置をすると通知した」と伝えた。

その上で同紙は「韓国政府は当初は持ちこたえるよう指示したが、中国の強硬な態度を見て、洪副総裁が休職申請をすることで事態を取り繕った」と指摘。「政府が中国の辞任圧迫にまともに対応できず副総裁職の維持が不確実になったことは、中国に対する過度な低姿勢と映る」などと言及した。

中央日報は「AIIBに4兆ウォン投じるのに副総裁のポストを飛ばしてしまうとは」との社説を掲載。この中で「韓国政府が友邦である米国のけん制を甘受してかろうじて確保した副総裁のポストが宙に消えた。今回の問題は国の恥をさらした天下り人事の破局という点で、洪副総裁指名過程に対する青瓦台(大統領府)と韓国政府の十分な説明がなければならない。また、彼の任命に関与した関係者に対する厳重な問責も続かなくてはならない。そうすることがうろたえる国民に対する最小限の礼儀だ」と論じた。

さらに、朝鮮日報は社説で「AIIB副総裁の地位を失った韓国、人事の失敗は誰が責任を取るのか」と糾弾。「根本的な原因は、朴政権による人選そのものにある。洪氏は産業銀行会長在任当時、大宇造船の経営を悪化させた張本人だ。国際機関にまで天下りを強行した政府の異常な人事によりもたらされたもので、誰かが責任を取らない限り、国民は絶対に納得できないだろう」など非難している。(編集/日向)