いまの30代は、「男は外で稼ぎ女は家を守る」というような「古い結婚観」からは解放されている。それでも結婚はハードルが高い…(撮影/今村拓馬)

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 20年後には男性の3人に1人、女性の5人に1人が「生涯未婚」とも言われる。

 そんな未婚社会で、30代の独身男女はどんな結婚観をもっているのか。男女3人ずつが集まり、本音を語り合った。

 晩婚化、非婚化が進む現代。一方で恋愛ドラマは盛り上がりをみせている。ドラマ「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」や「世界一難しい恋」など、恋愛下手な主人公たちが織りなすラブコメものが話題になった。では、現実の30代独身男女は結婚をどう考えているのか?

男性A:結婚は明日にでもしたいです。結婚願望はありますよ。でも、仕事ばかりで出会う機会がありません。以前は街コンとか友達の家で開催されるパーティーとかに積極的に行ったんですが、そんな元気もなくなってきた。

男性B:僕も、20代前半のときは合コンで出会う機会を作ったけど、高い食事代を払ってもまったく得るものがない。嫌になってしまって何もせずに今に至る感じですね。

●自然な出会い求めたい

女性D:わたしは、まだ結婚というものがリアルなビジョンとして見えていないんです。

女性E:私も、こう生きるというのが定まっていないので決められません。

女性D:自分の今のライフスタイルを保ったまま人と暮らすことが想像できない。私も仕事が一番。26歳くらいのときに彼氏が欲しくて週5回合コンしたり、お見合いアプリもやってみたんですが、燃え尽きてしまいました。ここ数年は、迷ってしまい出口が見えない状況です。

女性F:私は30代半ばになり、いざ結婚したいと思って会社の同期を見渡しても、同世代は結婚済み。出会いがないし、年齢的にもう手遅れ感があります。だから友達に紹介してもらったり、最近流行の婚活アプリを使ったりして相手を探しています。でも、これまで学校や職場など、身近な所で出会うことが多かったせいか、アプリで出会った人を良いと思っても先に進もうという気が起こらない。

男性B:自分のかっこいい面と相手のいい面だけを見て付き合うというのは違っていて、意識し合うときって偶発的なものだから、僕はネット婚活はやっていません。自然な出会いを求めたい。

●女性には働いてほしい

──理想の結婚相手は?

男性C:自分のやりたいことを貫ける人が一番かな。家庭に入りたいなら入ってもいいし、仕事をしたいならそのまま続けてもらってもいい。

男性B:輝く女性でいてほしい。奥さんにはずっとキラキラしていてほしいんです。新しいことにチャレンジし続ける女性は魅力的です。女性には家庭的になってほしくない。ずっと働いていてほしいです。

男性A:何でもストレートに言ってくれる人がいいですね。年齢も10歳上でも10歳下でもかまいません。強いて言うなら、僕の友達と一緒に過ごしてくれる人がいい。

男性B:僕は土日は自分の好きな趣味の時間をとりたいんです。パートナーには、他の所で自分の世界をもっていてほしい。お互い帰ってきてそこでシェアし合いたいなと思ってます。仕事の不満は外で発散してきて、会ったときは楽しい時間をシェアしたい。

──男性陣は女性のやりたいことや仕事に理解があるようですね。男性のみなさんは、女性がやりたいことをするためなら、自分が家事をしてもいい? 女性の年収が自分より高くても気にしませんか?

男性A:家事大好きです。妻がやるもんだというつもりは全然ない。

男性B:女性の年収が高くても全然気になりません。でも代わりに僕に家庭に入ってくれとまでいうのはちょっと……。

●頑固さを和らげる人

──一方の女性陣の理想の結婚相手は?

女性D:仕事にプライドを持っている人がいいです。自分の時間をもちたいので過干渉な人は合わないですね。あとちょっとドジで抜けてる人がいいです。

男性B:仕事はバリバリしていて、プライベートは抜けてる人が理想ということ?

女性D:そうです。なかなかいないんです。

女性E:私はただひとつだけ。お互いに思いやれる人がいい。20代のときに5年付き合った彼と婚約をしたのですが、うまくいかなかったのはなぜかと何度も考えちゃうんです。彼が海外駐在員になるからついていくため、私が仕事を辞めなくてはならなくなった。でも、その私の不安について理解してくれてなかった。「憧れの駐妻になれたからよかったね」とだけ彼から言われた時に、思いやりは大切だと思いました。

女性F:ずっと一緒にいられる親友みたいな人がいいですよね。別の人生を歩んでいても隣にいるような。

女性E:一緒にいて心地よければそれが理想のパートナーです。

──女性のほうは一家の大黒柱になるのはいいですか?

女性D:私にそれだけの年収があれば問題ない。でも、現実的に難しいかなと思います。

女性E:男性が女性の駐在について海外にいくことがあっても、周りをみていると離婚するケースが多い。男性から仕事を奪うとうまくいかないと思う。

──みなさん程度の差はあれど、結婚したい。どういう時にしたいなと思いますか。

女性E:ひとり暮らしをしていると、やっぱり寂しい。年を重ねるごとに自分が頑固になっているなと感じるので、それを和らげてくれる人がそばにいてくれたらいいのに。

女性F:わたしは実家暮らしだったんですが、それが結婚できない要因だと思ってひとり暮らしを始めました。酒のつまみが欲しいって思って料理をするけど、おいしいとかまずいとか言ってくれる人がいたほうが楽しいじゃないかと、なぜ自分のためだけにこんなに料理しているの?とふと思います。

男性A:わかります。僕は強がっているから基本一人でも大丈夫だと友人には言うんです。でもつらいことがあって、具体的に相談するわけじゃなくても、彼女がそばにいてくれるだけで元気になれるんだろうなって、友達夫婦をみていると思う。

●両親のように仲良く

男性B:ただ、女性陣に対して質問があるのですが、女性が相談してきたことに男性が真面目に答えを出すと、「それ聞いてない」って怒りますよね。あれはどういうことですか。

女性F:女心がわかってない! 悩みをわかってほしくて言っているだけだから、それに対して正論を言われると、怒りの矛先が男性のほうに向いてしまう。女子はただしゃべりたいだけだから発散すればそれで終わり。女子同士だとうんうん言って聞いてないよというのもありますが、すぐおいしいご飯の話なんかに切り替わります。

男性B:そうですか。はい聞き流します……。

──みなさん結婚をしたいと思ってもできない。その原因は何だと思いますか?

女性D:理由はたぶん二つあって、一つは仕事も、自分のスキルアップをするための習い事も、やりたいことがたくさんあって人を巻き込めないと思っていること。二つめは、両親が仲良しなんですが、1、2年お付き合いをして、そういう理想の夫婦に自分もなれるのか見極められないこと。相手とどう折り合いをつけるのかが見えていない。

男性C:僕も同じです。子どもが独立したあと、30年その人と連れ添うことを最初のお付き合いの段階で判断するのは変ですけど、考えだすとエンドレスです。そんなもんは勢いだと言われるんですが、結婚とは何かと悩み過ぎてしまい、どこにも進めていない状況です。

男性B:僕は去年まで転勤でアジアの支店で働いていました。若い時に海外で働きたいと思う一方で、結婚すると奥さんが僕について来られるのかと不安です。もし次が治安が悪くて不便なところだったら、結婚できないだろうなと心配です。

女性E:転職してやっとやりたかった仕事ができるようになりました。4年前は仕事を捨てて海外に行く彼についていけるかと考えるとすごく難しかった。ここ最近は充分やりきったから男の人についていけると思う日と、もうちょっと頑張ってみようという日と両方あります。

●幸せそうな結婚少ない

女性F:子どもがいる共働き夫婦が友達に増えてくると、旦那の愚痴をすごく聞くんです。そこは正直あまり聞きたくない。夫婦ってそうなっちゃうのかな。ひとりで晩酌している身からすれば、幻滅するような話はあまり聞きたくない。

男性C:幸せそうな結婚をしている人は少ないなと思います。会社の先輩が、奥さんのことを「お化けは見えるけどゴミは見えない」と言うんです。要は掃除をしない妻らしく、ずっと喧嘩しているという話を聞くと理想が崩れていってしまう。

──恋人と結婚相手に違いはありますか?

女性F:好きじゃない人とは一緒にいられないから、同じです。

男性B:結婚相手は恋人の延長線上にいるんだと思います。自分の理想の女性像があって、それに近いかなと想像しながら付き合いを進めていく。

男性A:見かねた友達が僕に彼女候補を紹介してくれるんですが、僕は恋人になっても2週間に1度会えればいい。だからお付き合いに発展しない。相手からはよく、あなたとは将来のことが考えられないと言われてしまいます。

女性F:でも、お互い好きなことをして相手を気にしない女性より、「なんでもっと早く帰ってこないの」と干渉する女性のほうが、結局のところ結婚している気がします。

●無理に妥協したくない

──周囲からの結婚プレッシャーはありますか?

男性C:20代は親から結婚、結婚ってよく言われましたが、晩婚宣言をしたので、圧は感じますけど最近は大丈夫です。

女性E:母が占いを信じていて、それによると再来年に結婚できるようで、今はやめておきなさいと言われたりもします。

男性A:僕は結婚はしたいけど、無理にはしたくないですね。

女性D:実際は、結婚に対してそんなに真剣に考えたことがないのかも。なんとなくするのかな……ゆくゆくは、くらい。

男性B:今のままでは絶対結婚できないと言われたら妥協してまでするのか、分からないですね。

──みなさん、結婚できないんじゃなくて、しないんですね。

男性A:周りの友達で独身なのは僕だけです。でも、友達夫婦と僕という3人で遊ぶのもみんな受け入れてくれる。その中にいれば、一人じゃないという気持ちになります。

女性E:結婚しなくてもけっこう楽しい時間は過ごせる。でも、やっぱり心のよりどころはほしいですね。

<参加した人たち>
Aさん 35歳・男性。会社経営者で仕事が大好き。でも、仕事ばかりで出会いがないのが悩み

Bさん 32歳・男性。国際通信の会社で働く。海外駐在を狙っている。結婚したら共働きが理想

Cさん 35歳・男性。半導体メーカーの営業。男性7割の職場。職場の女性は気が強い

Dさん 33歳・女性。食品メーカー勤務。20代は週5で合コン、でも最近は燃え尽き気味

Eさん 30歳・女性。公務員。過去に婚約をしていたこともあるが、うまくいかず解消した

Fさん 36歳・女性。会計事務所で働く。30歳を過ぎてから結婚願望が湧いてきた

(構成/編集部・柳堀栄子)

AERA 2016年7月18日号