人は活動すれば、疲れを感じるのは誰でも一緒だ。疲れを溜め込むことなく、すぐに回復することができれば病気にもなりにくい。しかし、それが上手くできないために、病へと発展させることがある。
 「肉体労働や運動をした後は“身体が疲れた”と感じますが、これは錯覚です。ゴルフ程度では筋肉に大きな負担はかかりません。疲れたと感じるのは、脈拍や呼吸、体温を司る自律神経が運動によって疲弊することで脳が勘違いし、それ以上、身体を動かさないように仕向けているのです」

 こう説明するのは、東京都健康長寿医療センター顧問・脇山博之医師だ。つまり、自律神経を整えれば疲労は回復するという。同医師は慢性疲労専門医で幅広く疲労や睡眠療法を研究する“疲労のスペシャリスト”と呼ばれている。
 「疲労の仕組みについては、まだ知らない人が多い。10数年前までは科学的・医学的な取り組みが全く行われていなかったため、“なぜ疲労するのか”をきちんと説明できない医者も多かったんです」(同)

 そのため、疲労時には栄養ドリンクや焼き肉、うなぎといった精の付くものを摂るという“迷信”が独り歩きし、それがいまだに蔓延しているというのだ。
 都内で総合医療クリニックを営む医学博士・久富茂樹院長も、こう説明する。
 「戦前の食料不足の頃はエネルギー不足による疲れが深刻でしたが、今どき、そうした疲労自体、まず起きません。かえって脂質の多い食べ物を一気に食べれば、胃に負担がかかり、疲労回復にはならない。間違った解釈がされているのです」

 では、疲労回復には何をしたらいいのか。ひと言で“疲れ”と言っても、いくつかの種類があり、タイプが違えば当然、解消法も変わってくるのだ。ある専門家によれば、そのことが免疫学の立場から見るとよく分かるという。
 医療分野においては、もともと人間に備わっている免疫力によって病気を癒すことが疲労回復となる。つまり、ウイルスや細菌など、さまざまな外敵から身体を守る防衛システムの強化が必要だ。
 「白血球の働きによる身体を病気から守る自然治癒力が病気を防ぐ。また、自律神経は白血球を調節するという“白血球の自律神経支配”の法則により、疲れのタイプや解消法が具体的に分かるのです」(専門医)

 自律神経といえば、交感神経と副交感神経を併せ持ち、人間の休息と活動に並行して身体の各組織を無意識のうちに調整している。
 交感神経は、人が活動する時や運動をしている時に活性化し、“元気”や“やる気”の状態を作り出す神経。具体的には、心臓に働きかけて拍動を速くし、血管を収縮させては血管を作り上げ、呼吸も速く、浅くする。そうすることで心身ともに興奮状態を作り、活発に活動しやすくする。
 「ただし、活動時は身体に傷を作りやすいため、傷から侵入する細菌などの外敵から身を守る必要もある。そのため白血球は、細菌を攻撃する役割の顆粒球が増えるのです」(健康ライター)