カットラインギリギリながら予選突破を果たした市原(撮影:岩本芳弘)

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<全英オープン 2日目◇15日◇ロイヤルトゥルーン(7,190ヤード・パー71)>
 決して優勝したわけじゃない。だけど、涙が止まらなかった。2アンダーの22位タイから出た市原弘大は、3バーディ・9ボギーとスコアを6つ落としながらもトータル4オーバー67位タイで初のメジャー予選通過を達成。18番ホールで見守ったチームの大歓声。そして、父・邦夫さんの目に光るものを見つけると、思わず目頭が熱くなった。

 強まる風雨にカットラインが1つ、また1つと後退していく中、市原もライン上で奮闘を続けていた。1番から3連続ボギーを叩く最悪の立ち上がり。「1度か2度くらいしか経験がないような風の中で、地面が固かったり色々な要素があって、まったく思ったように打てなかった」。12番までに8つのボギーを喫し、荒れ狂うリンクスに飲み込まれる寸前だった。
 だが、コースで奮闘する市原はそれを受け入れてリンクスと向き合っていた。「落としたのは自分の実力不足。それを嘆いても仕方ないから、次のショット、次のショットとひたすら一生懸命やるだけだった」。
 13番では8メートルを放り込んでバーディを奪うと、続く14番でも5メートルをねじ込んで連続バーディ。「あれは大きかった」と予選通過圏内に自らを押し上げると、上がり4ホールを15番のボギー1つに抑える驚異的な粘り。最終18番は2メートルのパーパットを残したが、「もう打つしかない。スコアを考えても仕方がない」スライスラインをねじ込んだ。ゴルフに真摯に向き合う34歳にリンクスがほほ笑んだ瞬間だった。
 2度目の全英。初出場の2012年大会は140位タイでの予選落ちに「もう一度来て絶対にやりたいと思ってやってきた」。今大会に向けて国内メジャー「日本プロ日清カップ」も欠場して一足先にスコットランド入り。ロストバゲッジにより練習ラウンドスタートは遅れたが、日本勢の誰よりもロイヤルトゥルーンと向き合ってきた。「過去にも1打差で予選落ちしてきたことは何度もあった」。そんな苦労も2日目の涙に変わった。
 だが、もちろん通っただけで終わりじゃない。「ワールドランキングも一番下のほうだと思うし、順位的にも一番下。予選ラウンドはチャレンジで、これからもチャレンジは変わりない。そんな中で自分ができるか、どれだけやるか。次につなげていって、またこういう舞台に戻ってこれるように、これから勝負していくために必要なものがいろいろと得られたらいい」。涙の先には、最高の笑顔があればいい。
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