京都在住の和菓子ライフデザイナー、小倉夢桜(おぐら・ゆめ)です。

京都の四条烏丸界隈では、祇園祭の各山鉾(やまぼこ)の駒形提灯に灯がともり、鉾からは「コンチキチン」と祇園囃子が奏でられるようになりました。夏本番を迎えた京都の風情を至るところで感じることができます。

祇園祭を舌で楽しむ和菓子

この時期、京都の和菓子屋には祇園祭をモチーフにしたさまざまな意匠の上生菓子が並びます。今回の「手のひらの幸せ」は、その中からいくつかご紹介させていただきます。

「祇園団扇」

祇園団扇

三方を山で囲まれた京都盆地は、内陸盆地特有の気候です。夏の蒸し暑さも、その風土からくるものです。

祇園祭が行われる頃の京都では、団扇(うちわ)や扇子(せんす)は欠かせません。そのため、この時期には団扇をモチーフにしたお菓子をよく見かけます。

こちらは、団扇をかたどった外郎(ういろう)のお菓子です。焼き印には、祇園祭にちなんで八坂神社のご神紋である左三巴と木瓜紋(もっこうもん)があしらわれています。

「祇園囃子」

祇園囃子

「コンチキチン」の鉦(かね)の音が心地よい祇園祭のお囃子。お囃子の演奏者 は「囃子方(はやしかた)」と呼ばれ、太鼓・笛・鉦で構成されています。祇園囃子を聞くと暑い夏の京都の訪れを感じずにはいられません。

京都の夏を代表するお菓子のひとつである「葛焼き」。古くから京都では夏の茶菓子として好まれてきました。葛に小豆餡を練り込み、枠に流して蒸しあげたのち、かたくり粉をつけてほどよく焼いたお菓子です。ほのかな甘みと口当たりのよさが、暑さで疲れた身体を癒してくれます。

巡行

巡行

祇園祭のクライマックスといえばやはり山鉾巡行です。

釘を一本も使わずに縄のみで組み上げる「縄がらみ」という方法で建てられた大きな鉾。そして、曳山(ひきやま)、舁山(かきやま)*。国宝級、重要文化財級の豪華な装飾品を付けた山鉾が、人力のみで引っ張られてゆっくりと都大路を進む様子は「動く美術館」とも形容されます。

この豪華な鉾をあしらった和菓子が、この「巡行」。大和芋や山芋を使った薯蕷(じょうよ)製のお饅頭に鉾の焼き印を押した可愛らしいお菓子です。

今回、ご紹介させていただいたお菓子は、ほんの一例です。
京都では、祇園祭にちなんだお菓子が他にもいろいろ販売されていますので、夏の京都を訪れる際は和菓子屋めぐりしてみるのも面白いかもしれませんね。

*「山車」のこと。

■店舗情報

ご購入の際は、店舗までお問い合わせください。

・「祇園団扇」
店名:亀屋則克
住所:京都市中京区堺町通三条上ル大阪材木町702
電話番号:075-221-3969

・「祇園囃子」
店名:宝泉
住所:京都市左京区下鴨西高木町25
電話番号:075-712-1270

・「巡行」
店名:二條若狭屋
住所:京都市中京区二条通小川東入る西大黒町333-2
電話番号:075-231-0616

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