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●目玉は自動運転技術
日産自動車は新型「セレナ」を8月下旬に発売する。エクステリア、インテリアデザインを刷新した最新モデルとなるが、目玉は自動運転技術を搭載したことだ。同技術に力を入れる日産がかける期待とはどの程度のものだろうか。

○第5世代はよりスポーティーに

1991年の初代発売以来、ファミリー層をうまく取り込み、累計150万台以上売れたセレナ。モデルチェンジを繰り返し、第5世代の新型が8月下旬に発売される。

第5世代では、現行モデルに比べ、よりスポーティーなデザインとなり、室内空間も拡大させたほか、「エクストレイル」に使われた自動駐車機能の「インテリジェントパーキングアシスト」を新たに導入している。さらに、従来モデルに採用された安全技術も取り入れられている。衝突回避、被害軽減機能の「エマージェンシーブレーキ」、車線から逸れた場合に注意喚起を行う「車線逸脱警報」、天候や後部座席の物体の有無に左右されずにクリアな視界を実現する「スマート・ルームミラー」などだ。

○目玉は自動運転技術

こうした機能以上に注目したいのは、自動運転技術の「プロパイロット」である。プロパイロットを5段階の自動運転レベルに照らし合わせると、中間のレベル2に相当するものとなる。

レベル2は、加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが担う。事故時の責任はドライバーが負い、走行中はいつでも安全運転できる態勢をとっておく必要がある。システムに全操作を委ねるのがレベル4であり、完全自動運転を実現する中途段階に位置するのがプロパイロットというわけだ。

では、プロパイロットは何を実現するのか。同社によると、プロパイロットの利用想定シーンは高速道路の単一車線走行時のみとする。渋滞時や長時間の巡航走行で、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作を自動制御し、運転時の負担を軽減するのがメリットだ。

ドライバーがハンドル部のスイッチを押すと、自動運転システムが起動し、同一車線内に先行車がいる場合には、車間距離をとり先行車に追従、先行車が減速すれば、それに合わせた動きを行う。

先行車が車線変更をすれば、新たな先行車に追従する。隣の車線から割り込みがあれば、適度な車間距離をとり、追従して走行する。カーブも白線を把握して車線を保つようにハンドル操作を行う。単独走行時にはあらかじめ設定したスピードで定速走行を行う。

今回の技術は、自動運転車と表現するにはまだ遠く、運転支援システム搭載車と表現したほうがよいかもしれないが、日産は引き続き技術の高度化を図り、自動運転車に近づけていく方針だ。2018年には高速道路での車線変更を自動化する技術、2020年までには交差点を含む一般道で使える自動運転技術を投入していくという。

●自動運転技術は広まるか
○プロパイロットは安全技術

先々も考えると、期待が膨らむ自動運転技術だが、安全性の問題も指摘されている。それがクローズアップされるきっかけとなったのが、今年5月、米国において発生した事故だ。米テスラの「モデルS」のドライバーが自動運転機能を使用した走行中に側方から進入したトレーラーに突入し死亡した。モデルSの自動運転技術もレベル2に相当するもので、完全自動運転ではない。事故の直接的原因がシステムなのか、ドライバーなのかは不明のままだ。

そうした事故を踏まえてか、新型セレナの発表会で何度も登場したのが「安心・安全」という言葉だった。日産は交通事故の9割が人為的なミスによるものとし、プロパイロットを交通事故を減らすための安心・安全の技術だと強調する。確かに米国での死亡事故はひとつの事象に過ぎず、事故の総数は技術をもってして確実に減らせるのであろう。

「技術の日産」と標榜するように、プロパイロット搭載車種に、中核モデルのセレナを選んだのも、技術をもってして課題の解決が可能だという同社の自信の表れだろう。同社のプロパイロットにかける期待も高く、製品開発担当の坂本秀行副社長は「運転支援技術としては、世界的にエマージェンシーブレーキ機能が急激に普及しているが、それと同様に広まっていいく価値ある技術」とし、「普及すると思うし、普及させたい」(同氏)と熱を込める。販売価格についても、300万円を切る"戦略的な値段"として普及に力を入れていくようだ。

そうした思いに反して、米テスラ車の事故が自動運転技術への不安を増長させたといえる。事故件数としては1件だが、その1件の重みは自動運転技術がまだ黎明期にあるなかで非常に重い。こうした事故を消費者はどう捉えていくのか気になるところだ。その意味で、新型セレナの売れ行きは、日本国内における自動運転技術の普及を占うものとなり、重要な指標にもなりそうだ。

(大澤昌弘)