連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第15週「常子、花山の過去を知る」第88話 7月14日(木)放送より。 
脚本:西田征史 演出:大原拓


「とと姉ちゃん」をもっと楽しむために、先週から 疑問点は【黒とと】、いいなあと思った点を【白とと】としています。

「きょうは本当にいい朝になった」とあさイチで。そんな気持ちにさせた「とと姉ちゃん」88回とはーー。
屋根の修繕のうえ、ちゃぶ台まで直す花山伊左次(唐沢寿明)。
いわゆる嵐のような人・唐沢寿明の登場で、今までまったりしていたドラマが急激に活気を帯びてきた。
おそらく、まったりゆったりしたムードが「とと姉ちゃん」の良さではあるものの、それが物足りないという視聴者もいた。花山という新しいリズムが加わったことで気分もあがる。
小橋家にサービスしてへとへとになった花山が帰宅すると、友人が来ていて、仕事の紹介の話。乗り気の花山。珈琲屋のあがりだけでは生活が厳しいって、ほとんど客がいなそうだものなあ。常子も結局代金払ってない気がするし・・・。
鞠子(相楽樹)と美子(杉咲花)は、またまた水田さん(伊藤淳史)の頼みで雑誌を置いていいと言ってもらえる。なんかなあ・・・【黒とと】

だが、87回で指摘した常子の都合いい物言いも、たまたま水田が鞠子を気に入って親切にしてしまうことも、日常でもとかくありがちなこと。聖人ぶって、物語の主人公が潔白な生き方をしているように描かないのは作者の誠意だと思いたい。【グレーとと】
まずは、このご時世、何が何でも生き延びなくてはならない。ついに花山は常子を手伝うことにする。「放っておけば君ら家族が死んでしまう」と小橋家の様子を見て(話を聞いてしまい)心が動いたようだ。家訓なんかも見て常子の健気さにも気がついたのだろう。常子も、他者に彼女のほんとうの思いを気づいてもらえない不器用な人物なのだ。
花山は花山で、家族を養うために金を稼ぐ絶好のチャンスだったに違いない。荒削りだが何か可能性があると踏んだのだろう。
絶望の淵にたたされていた男と、人生に迷っていた女(どちらも他者から誤解されがちなところも共通点)が出会って、人生の賭けに出る。うーんドラマチック! こういうパターンでよくあるのは孤独な男と女の出会いだが、花山と常子はそれぞれ守るべき家族がいる。恋愛関係抜きのビジネスパートナーというのも新鮮。【白とと】

「エースをねらえ!」的な鬼コーチ花山としごかれる常子みたいな展開になれば、西田征史が本領発揮できそう。漫画っぽいのが得意な気がするのに、あんまり社会派や文学期待されても困りますよね、西田さん。
漫画といえば、88回のゲストは漫画家・桂正和(闇市の男役)だった。西田が脚本を手がけたアニメ「TIGAR&BUNNY」のキャラクターデザイナー桂は、同じく西田脚本作「実験刑事トトリ」に出演した時も話題になった。さらに、あの好視聴率ドラマ「99.9%─刑事専門弁護士─」にもゲスト出演しているので、顔出しにももはや余裕が感じられる。
桂は出演だけにとどまらず「とと姉ちゃん」のアイコン(かわいい!)まで手がけている。オフィシャルで「とと絵」をつくってしまうNHK。このご時世、何が何でも生き延びようとアイデアを駆使しているようだ。
(木俣冬)