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本日7月15日は1983年に任天堂が「ファミリーコンピューター」を発売したことから、「ファミコンの日」と定められている。ゲームを嗜(たしな)む方も興味を持たない方も、任天堂という社名を知らない日本人はいないだろう。だが、同社は一時期の勢いを失っている。2007年11月2日には7万500円をつけた株価も、サブプライムローン問題やスマートフォンゲームの台頭から低迷。2015年7月にはプログラマー出身であると同時に、山内家以外から初めて社長に就任した岩田聡氏も鬼籍に入っている。

2012年に発売したWii Uシリーズもあまり芳しくない。執筆時点での公式販売台数は1,280万台だが、Wiiシリーズは1億163万台、ニンテンドーDSも1億5,402万台という数字と比べても、市場に充分に受け入れられたとは言い難いだろう。この現状を踏まえて代表取締役社長 君島達己氏は、次世代ゲーム機「NX(仮)」に注力するため、Wii Uの生産を2018年第3月期に終了する可能性があると発言している。

これら状況が投資家マインドを刺激したのか、2012年5月に株価は1万を割り、1年ほど低空飛行を続けていた。この不利な状況にある任天堂を大きく変えたのが、「Pokémon GO」である。任天堂とNianticが共同開発したタイトルだ。スマートフォンに内蔵されたGPSを利用したAR(拡張現実)と、子どもたちを中心に人気を持つ「ポケモン」というコンテンツを融合したゲームである。

元々Googleの社内スタートアップであるNianticはAR/GPSゲーム「Ingress」をリリースしているが、Pokémon GOはIngressのシステムを流用してポケモンの世界観を活かした捕獲や交換、バトルといった要素を加えている。執筆時点で日本は配信先に含まれていないが、先行配信された米国などでは大ブレイクし、社会現象を巻き起こした。

この結果は株価にも反映し、2016年7月12日の東証では一時ストップ高。年初来高値の2万円を突破している。株式関係者の間では"ポケモノミクス"と呼んでいるらしいが、ここで注目したいのがビジネスソリューションだ。前述したIngressはローソンや三菱東京UFJ銀行などと協業し、店舗や施設がある場所をポータル(参加者が奪い合う陣地のようなもの)化することで、集客率につなげようとしている。

Pokémon GOも同様の仕組みのため、キャラクターが出現する場所に看板を立てる店舗が現れるなど、現場レベルでの取り組みが起きていると言う。他方でPokémon GOは必然的に"歩きスマホ"を誘発するため、社会インフラに悪影響を及ぼす可能性は無いとは言えない。その点について任天堂は、スマートフォンの画面を見続けなくともPokémon GOを楽しめる「Pokémon GO Plus」というデバイスを用意した。

スマートフォンとPokémon GO PlusをBluetoothで接続し、キャラクターを発見するなどの情報をランプと震動で利用者に伝えつつ、基本的な操作を実行できるデバイスとなる。2016年7月末のリリースを予定しているが、Pokémon GOユーザーの増加に伴い、当初は入手困難になる可能性もあるだろう。

任天堂は2016年度の中長期的な経営方針として、スマートデバイス向けのゲームビジネスを収益の柱となるように育ててゆくことを目標に掲げている。既存コンテンツのスマートフォン対応版もさることながら、日本発のコンテンツをAR化し、新たなプレーヤーを掘り起こしたのは好機と言よう。日本が世界に誇れる企業の1つ、任天堂の今後に期待したい。

阿久津良和(Cactus)

(阿久津良和)