鳥越氏は「がん検診100%」を都知事選の公約とした(2016年7月12日撮影)

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2016年7月、東京都知事選に立候補したジャーナリスト、鳥越俊太郎氏(76)が、公約に「がん検診100%」を掲げた。

「東京大改革」(小池百合子氏)や「混迷に終止符!」(増田寛也氏)といった他候補の公約と比べると、独自色が強いが、大腸がんステージ4を乗り越えた経験を持つ鳥越氏が訴えるがん検診の現状はどうなっているのか。

未受診の理由「時間ない」「健康に自信がある」

東京都福祉保健局のウェブサイトには、都内の市区町村が実施するがん検診受診率の調査結果が公開されている。対象者は20歳以上の女性と40歳以上の男性で、2015年度の調査では、胃がん39.8%、肺がん37.2%、大腸がん41.9%、子宮頸がん39.8%、乳がん39.0%となった。いずれも前回調査の2010年度と比べ増加したが、受診率は最大でも4割強で、「100%」からは程遠い。

胃がん、肺がん、大腸がんの受診率を男女で比較すると、男性はいずれも4割を超え、胃がんは45.3%だった。女性は3つとも4割以下だ。検診を受けなかった理由を見ると、子宮頸がんは「受ける時間がなかった」が約4分の1を占めてトップ、ほかの4種類のがんでは「健康に自信がある」が最も多かった。

ところで、がん検診にはいくらかかるのだろうか。東京都に限らず、日本全国の市区町村が実施しているがん検診は、費用の補助がある。自己負担の金額は自治体によって異なり、日本医師会のウェブサイトは各地のがん検診担当窓口の連絡先を載せている。

住民に無料クーポン券を配布し、指定の医療機関で検診を受けられる自治体もある。東京都渋谷区の場合、2016年度の対象者は、胃がん、肺がん、大腸がんが2017年4月1日時点で40歳以上、乳がんと子宮頸がんが40歳以上で、4月1日現在「偶数年齢」の女性となっている。検査内容は、胃がんが「バリウムエックス線検査」、肺がんが「胸部エックス線、喀痰(かくたん)検査」、大腸がんが「便潜血検査」、乳がんが「マンモグラフィ、視触診併用」、子宮頸がんが「内診、子宮頸部細胞診」になる。

一部自己負担の自治体もある。東京都杉並区は、胃がんのエックス線検査や、肺がんの胸部エックス線検査、喀痰検査がいずれも500円。最も高いのが胃内視鏡検査の1000円だから、金額的にはそれほど大きくはない。

精密な「がんドック」は2〜9万円コースも...

さらに精密ながん検診を求めるなら、私費で「がんドック」を受ける方法がある。例えば東京都がん検診センターでは、胃や大腸のほか、肝臓、胆のう、すい臓を含めた「消化器系がん」検診がある。日帰りの「一般コース」では、バリウムエックス線検査、内視鏡検査、便潜血検査、腹部超音波検査などのメニューで、料金は1万9000円。

消化器系と呼吸器系の検査を同日中に行う「プレミアムコース」になると、「一般コース」のほかに血液抗体検査や尿素呼気試験、血液検査、胸部CT検査などが追加される。ただし、料金は9万4000円と、自治体のがん検診と比べてかなり高額だ。

予算の関係もあり、高度の検査を頻繁に受ける必要があるかどうかは各人の事情によるだろう。ただ、自治体の検診なら少額負担、場合によっては無料で利用できる。記者の場合も、自治体の無料クーポンを使って大腸がん検診を受けた。健康診断の検便と同じ要領で、検体を自宅近くのクリニックに持ち込むだけだった。結果は2、3日で知らせてもらえた。手軽に受けられるだけに、活用しない手はなさそうだ。