家の上に「ほったて小屋」が3つ建っている理由

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家を設計する際、建築家が参照する重要な要素の1つとして「敷地」があります。

毎回異なる敷地に設計をするワケですから、そこが建物を左右するのはたしかに当然かもしれませんね。

島田陽のタトアーキテクツによる素敵でおしゃれな住宅山崎町の住居_1

ただ、建築家たちが設計に反映するのは、敷地の形状や広さといった目に見える条件だけではありません。

その敷地が今までどう使われてきて、今後どう使われていくか、周辺の敷地はどのように変化してきたかという「敷地の文脈」も、大事な条件なんです。

島田陽さん率いるタトアーキテクツが兵庫県に建てた「山崎町の住居」も、敷地の文脈によって生まれた、特徴的な形をしています。

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「山崎町の住居」は、田畑だった斜面地を造成し、住宅地に置き換えていくエリアの一角に建っています。

設計ではまず、安定した地盤に基礎が建つように、地上から76cm下げた位置に床を設置しました。

地下に居室を下げることで地熱を利用し、室内温度を安定させる効果も見込めます。

また床の位置を下げることで、1階の屋上部分が周囲の建物に比べてぐっと低くなり、空や山など周辺環境への視界的・物理的な抜けがよくなるメリットもあります。

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屋上部分が、周囲と連続した「庭」であるような仕立てになっています。

まさに敷地の文脈に沿った設計というわけ。

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そして最大の特徴が、庭のような屋上の上に建つ、3つの三角屋根の建物です。

この3つの三角屋根、1つは居室、1つはサニタリー(水回り)、もう1つはライトルーム(明かり取りの部屋)として設計されています。

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しかも、サニタリーとライトルームは、まるで畑の中にある「ほったて小屋」のような、ポリカーボネートを外壁と天井に使っています。

これら2つの建物は、冬には明かりと暖かさを地下に埋まった下階に届ける役割を果たすんです。

また、建物についている電動の窓をすべて開け放つと、廃熱の役割を果たすように作られています。

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元々田畑だったところを造成したこの住宅地は、今後いかにも「建て売りの住宅」然とした住宅が建ち並ぶことを想定されます。

その住宅街という文脈と、もともとある田畑という文脈をつなぐのが、ポリカーボネートで仕上げられた2つのほったて小屋なのです。

大きさもデザインも、田畑にあったであろう、ほったて小屋的なものをあえて作ることで、この敷地がもつ文脈をつなぐ役割をになっているのです。

建築家が設計する家の裏にある「敷地の文脈」。有名建築の裏側の文脈を探ってみると、おもしろいかもしれませんよ。

山崎町の住居[homify]