古代ギリシャの哲学者っぽい響きだが...

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620種類もの海の生き物が集う世界最大級の水族館・海遊館(大阪市)で特別企画展「デスモスチルスのいた地球〜謎だらけの古代生物たち〜」が2016年7月15日から始まる。展示の目玉はタイトルにもある「デスモスチルス」なのだが、そもそもデスモスチルスがなんだかわからない。

海遊館が関西の国立大学3校(京都大学、大阪大学、神戸大学)の現役学生300人を対象にデスモスチルスに関するアンケートを行ったところ、84.3%がデスモスチルスを知らないと答えた。大学生の間で絶望的に知名度が低いデスモスチルス。一体何者なのか。

でも日本とゆかりが深い謎の生物

「デスモスチルスと聞いて何を思い浮かべますか?」という問いに対して学生から返ってきたのは、"極悪野球チーム"、"ゴツゴツした金属っぽいやつ"、"中二病(思春期の少年女にありがちな自意識過剰な言動を揶揄した俗語)っぽい技"等々、およそ関西屈指の国立大に通う学生の回答とは思えない支離滅裂なものだった。

ちなみに「海の生き物のプロ」である海遊館の飼育員もその75%がデスモスチルスを知らなかったという。

デスモスチルスは3000万年前〜1000万年前、中新世中期から後期にかけて生息していたカバのような海生哺乳類の名前だ。ラテン語で「束ねられた(デスモス)柱(スチルス)」という意味。海苔巻を束ねたような不思議な形状の奥歯を持っていたことがその名の由来という。体長は約1.8m、体重は約200kgだったと推定される。半海棲だったという説が濃厚で、化石からわかる骨密度は現代のイルカなどに近いが、体型はイルカのように素早く泳ぐための流線型ではない。

デスモスチルスの化石が初めて発見されたのは100年以上前だが、想像図はあるもののどんな姿で、どんな場所に住み、何を食べ、どうやって動いていたかなどは分かっていない。古生物学の世界では「ナゾの哺乳類」として名高い存在なのだ。

また、デスモスチルスは日本とかなり縁が深い。というのも現存する化石のほとんどが日本で発見され(出土場所は北海道から島根県まで各地に分布)、全身骨格は日本でしか見つかっていない。

特別展はデスモスチルスの化石レプリカをはじめとして、デスモスチルスの生態の謎をまとめた解説ムービーの上映や、タブレット端末で自由にデスモスチルスの模様や体のパーツをデザインできる子ども向けゲームなどを用意。そのほかにも海遊館で人気のイルカやアシカの祖先、ペンギンに似た絶滅生物「ペンギンモドキ」など、海に関わる古代生物の謎にスポットを当てた内容になっている。1967年にフランスから日本に初めて持ち込まれた、"生きた化石"として知られる古代魚・シーラカンスの実物標本も展示される予定だ。