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自然科学研究機構 生理学研究所(生理研)は7月14日、幸せに関連する脳領域について、構造面・機能面から調べた結果を発表した。

同結果は、生理研 定藤規弘教授、小池耕彦特任助教、中川恵理特任助教、愛知医科大学 松永昌宏講師らの研究グループによるもので、4月13日付の米国科学誌「NeuroImage」オンライン版に掲載された。

幸せには、「幸せな気持ち(幸せ感情)」としての一時的な側面と、「幸福度」としての長期的な側面の2つがあるといわれており、幸福度が高い人は日常生活の中で幸せ感情を感じやすく、逆に日常生活において幸せ感情を多く経験すればするほど幸福度が上がっていくというように、幸せの2つの側面は相互に関連していることが知られている。しかし、なぜ2つの側面が関連するのか、その生理学的基盤はこれまで明らかになっていなかった。

今回、同研究グループは、磁気共鳴画像装置(MRI)を用いて、幸せに関連する脳領域を構造面・機能面から調べる実験を行った。具体的には、106名の実験参加者に、好きな人に告白してOKをもらったなどといったポジティブな出来事と、好きな人に告白してフラれたなどといったネガティブな出来事、および感情的にニュートラルな出来事などをMRIの中で想像してもらい、ポジティブな出来事を想像しているときに特に強く活動するとともに、幸せ感情喚起の程度と関連して活性化する脳領域があるかどうか、参加者の幸福度に対応して構造が変化する脳領域があるかどうかについて調べた。

この結果、幸福度が高い人ほど、内側前頭前野の一領域である吻側前部帯状回と呼ばれる脳領域の体積が大きいこと、幸せ感情の程度が高い人ほど、吻側前部帯状回の活動が大きいこと、さらに、ポジティブな出来事を想像しているときの吻側前部帯状回の活動はその場所の体積と相関していることが明らかになり、幸福度が高い人は、吻側前部帯状回が大きいために幸せ感情を感じやすいことがわかった。

今回の成果について定藤教授は、「最近の研究で、脳は筋肉と同じように、鍛えれば鍛えるほど特定の脳領域の体積が大きくなることが分かっていますので、今回の結果は、楽しい過去の記憶の想起や、明るい未来を想像するといったトレーニングにより、持続的な幸福が増強する可能性を示したものといえます。トレーニング効果は今後実験的に確認する必要があるでしょう」とコメントしている。

(周藤瞳美)