雨で視界が悪くなり、暑さで薄着になる今の時期は、夜道の危険度がいっそう増します。仕事や付き合いで帰宅が遅くなりがちな働く女性は特に、痴漢やひったくりなどの犯罪に気をつけたいもの。そこで今回は、女性なら知っておきたい帰り道の危険スポットや防犯スキルについて、All About「防犯」ガイドである安全生活アドバイザーの佐伯幸子(さえき・ゆきこ)さんにお話を聞きました。

防犯対策は帰りの電車の中から

――やはり、夜の帰り道での危険な場所と言えば、人気のないところや街灯のない暗がりといったところでしょうか?

佐伯幸子さん(以下、佐伯):実は夕方の電車内から気をつけた方がいいんです。夕方、電車に乗って向かう先って、自宅ですよね。それをつけ狙う「都市型ストーカー」がいるんです。

昔だったら目的の駅までの切符が必要でしたが、今はICカードで、そのまま改札を出られますよね。つまり、電車内でターゲットを決めて、その女性が降りる駅で怪しまれずに一緒に降りられてしまうわけです。

事前にターゲットにされている

――帰りの電車はホッとして油断しやすい場所だと思いますが、ターゲットにならないためには、ここで気を張って周囲に注意した方がいいんですね。

佐伯:常に気を張って周囲を警戒するのは難しいでしょうから、要所要所で自分の方を見ている不審人物がいないか確認してください。スマホを操作しながらも、時々さりげなく顔を上げて周囲を見回しましょう。そこで視線をそらすような不審な行動をとる人がいないかチェックします。自分の方を見ている不審人物に気づいたら、別の駅でいったん降りて、次の電車に乗り換えます。

改札を出る時は、できれば一番最後に出ること。無理ならば、前や後ろに自分のことを見ている不審な人がいないか確認してください。こうして自宅に向かう前に、駅からつけられていないか確かめておくのです。

駐輪場や駐車場は要注意

――改札を出てから帰宅する中で、注意が必要なスポットはありますか?

佐伯:駐輪場や駐車場は特に、女性や子どもが被害に遭いやすい場所です。朝、自転車を停める時、防犯カメラの死角になっていないか、ライトが届く明るいところかどうか、確認するようにしましょう。帰りに駐輪場や駐車場に寄る時は、手に防犯ブザーを持っておくと安心です。

防犯グッズは、音や光が出るものがほとんどです。こういったものは周囲に危険を知らせて助けを求めるというよりは、これから悪いことをしようとしている相手を驚かせて、犯意を喪失させたり、ひるませたりする役割が大きいです。防犯ブザーで相手がびっくりしているうちに一目散に逃げてください。

「帰宅途中にコンビニで買い物」も実は危険

――ひとり暮らしの女性だと、コンビニで買い物をして帰る人も多いはずです。ここにも落とし穴があるんでしょうか?

佐伯:コンビニ帰りに知らない人に尾行されたという事件は、実際にものすごく多いんです。例えば飲み物とお惣菜をひとつずつ買ってお箸を一膳しかもらわなければ、「女性のひとり暮らし」と思われ、ターゲットにされてしまう危険性が高まります。そもそも自宅に近いコンビニに寄る人がほとんどですから、その点でもリスクがあります。

コンビニで買い物をする時は、駅の近くのお店に入るか、帰り道に複数ある場合は毎回店を変えてローテーションで入るといいでしょう。お箸はふたつもらう、食料品を買う時は複数をまとめ買いするなど、なるべくひとり暮らしだと思われないように工夫してください。

一方で、コンビニは何かあった時に逃げ込める場所として頼りになります。地域のセーフティステーションの機能があるので、尾行されているなと気づいたら、コンビニに入って助けを求めることもできます。自宅に逃げ帰ると自宅の場所を相手に知らせる結果となってしまい、かえって危険なので絶対に避けましょう。

また、ひったくり被害者の9割は女性です。対策としては、車やバイクが通る側と反対の手にバッグを持つ、スーパーやコンビニに寄ったらブランド物のバッグはレジ袋の中に入れてしまう、という方法があります。

自分の周囲360度の安全確認

――歩く際には、どんなことに注意すればいいですか?

佐伯:時々後ろを振り返ることが重要です。そして曲がり角に来たら左右をよく見て、自分の周囲360度の安全確認をしましょう。

一番危険なのは、すれ違う瞬間です。前方から人が来た場合、ちょっと不審に思ったら相手が手を伸ばしても届かないように、さりげなく道の反対側に移るなど十分な距離をとるようにしましょう。また、ワンボックスカーなどスライドドアの車は、道幅が狭くてもドアを開けて中に引きずり込むことができます。車からは2メートル以上離れて歩き、もし追われて逃げる時は、追われないよう進行方向と逆に走るようにしてください。

電話の話し声で狙われることも

――スマホで誰かと連絡を取りながら歩けば、防犯になるのでしょうか?

佐伯:イヤホンで音楽を聞いたり、怖いからと携帯で話したりしながら歩く人がいますが、これは周囲に注意がいかないのでかえって危険です。

そして、実は「声」も危ないんです。例えば、数メートル先の物陰に男が潜んでいたら、声で若い女性が来るとわかってしまいます。しかも、会話内容を聞かれてしまう、個人情報を知らせてしまうことにもなります。声を聞かれると狙われやすくなる、ということをぜひ覚えておいてください。

スマホの防犯ブザーアプリを活用しよう

佐伯:不審者に見つけられてターゲットにされるのではなく、逆に自分の方が先に不審者を発見するんだというくらいの心構えでいてください。最近ではみなさん、スマホを持っていますから、何かあった時は、状況によってはカメラで撮影する、110番通報するなど、「いざという時の使い方」も頭の隅に入れておくといいでしょう。また、スマホで防犯ブザーを鳴らせるアプリも出ています。こうしたツールも活用していただきたいと思います。

(内野チエ)