「最近は、ED治療薬の処方と同時に精神安定剤を求められる方が増えています」
 こう語るのは、EDドクターこと『浜松町第一クリニック』院長の竹越昭彦氏だ。

 ED治療薬と精神安定剤の併用--。本コーナーの愛読者なら、その理由をすぐにお分かり頂けるだろう。
 「ED治療薬は、あくまで血管を広げて海綿体に流れ込む血流をよくする薬。加齢とともに血液循環は悪くなるので、それをカバーしてくれるんです」

 いわば勃起のメカニズムそのものを改善する薬だが、EDが起こる原因は、血流の悪さによるものだけではない。どんなに血流がよくても、精神的な不安や緊張を抱えていると勃起はしにくいのだ。
 「そもそも勃起は、性的な興奮を覚えた時、“勃起せよ”と脳が指令を出す。ところが、精神的に問題があると、この指令がうまく出せない。性欲はあるのにムスコはなぜか反応しない。そうした現象のほとんどは、心因性なのです」

 まだ若い場合や、働き盛りで体調に問題のない中年男性が“中折れ”などを引き起こした時も、ほぼこれに当たるという。そのため精神安定剤も必要となってくるのだ。
 「セックスに挑む最高のコンディションとは、適度な運動にバランスの取れた食事で血流がいいうえ、心は安定したリラックス状態なんです。このどちらかが欠けるとEDになるのです」

 だが、ED治療薬はまだしも、精神安定剤は抵抗がある…という方も多いはず。
 そこで今回は、薬に頼らなくてもできるセックス前の精神安定方法を聞いた。
 「まず、一番手軽なのは適度なお酒です。アルコールは理性を司る大脳の新皮質を麻痺させる効果があるため、あれこれと細かいことを悩まなくなるのです」

 また、甘いものが好きな方ならチョコレートもオススメだ。
 「チョコレートに含まれる『テオブロミン』と呼ばれる物質が、セロトニンの働きを助ける作用がある。セロトニンとは心のバランスを整える作用がある伝達物質です」

 ちなみにセロトニンが不足すると、人間はイライラしやすく、攻撃的な性格になるという。
 「セロトニンの働きをよくする方法としては、お腹を温めるのもその一つ。実はセロトニンは主に腸で作られるので、温めたほうが働きも活発になるんです。どうにも落ち着かない時、お腹を擦ってみることも効果的です」

 また、セロトニンは“よく噛む”といった口の動きでも活性化するという。
 「セックス前なら、口臭予防も含めガムを噛むこともいいでしょう。特に喫煙者の男性にオススメです。最近は煙草の匂いを嫌がる女性も多いので、せめてセックス前は煙草を我慢。口が寂しければ、ガムを噛んで誤魔化すのです」
 そうすれば精神も次第に安定してきて、いざ本番ではフル勃起なんてことも。

 そして意外な手はコレ。
 「セックス直前に腕立て伏せやスクワットなど、軽い運動をして脈拍を上げるんです。すると、一時的に興奮状態になりますが、それが落ち着いた時、スムーズにリラックス状態に入っていけるのです」

 大事な仕事の時など、セックス以外でも使えるぞ。

竹越昭彦氏
『浜松町第一クリニック』院長。ED治療の第一人者で、バイアグラやレビトラ、シアリスといった治療薬のそれぞれの効果や服用法などに精通。著書に『40代からの心と体に効く【生涯SEX】のすすめ』(扶桑社新書)がある。