唐沢寿明、盛大にツッコむ「とと姉ちゃん」85話

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連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第15週「常子、花山の過去を知る」第85話 7月11日(月)放送より。 
脚本:西田征史 演出:大原拓


先週から 疑問点は【黒とと】、いいなあと思った点を【白とと】としています。
いやあ、参ったなあ(清の口調でお願いします)。
今までの常子(高畑充希)のいらいらする言動は大いなるボケだったようで、花山伊左次(唐沢寿明)が盛大にツッコんでくれた。
「何を見せたいんだ、文章か、洋服か、テーマはなんだ。どのページを見ても同じような割り付けであきあきする。紙も劣悪で手触りも悪い」
「まわりを見てみろ、焼け野原の中、食うものも着るものも最低限しかない中で生きてるんだ」
常子の甘さ、戦後の状況・・・すべて猛スピードで語ってくれた。その速度のついた激しい口調が、説明を感情(怒りと雑誌作りへの愛情が混じったもの)に変化させる。ああ、すごいな、唐沢寿明。【白とと】
「ああいう害のなさそうなまぬけズラでも油断するな」も最高。【白とと】

朝ドラのヒロインには、助けてくれる人(滝子とか五反田とか水田とか)だけでなく、相対化する人(ツッコミ)が必要なのだ。
花山の自宅のシーンもいい。花をまっすぐに飾ろうとする偏執的な面が描かれる。これよ、これ。人間性をちょっとだけ感じさせるひと手間、今までの「とと姉」にはなかったものがあった。【白とと】

さらに花山の人間性を表すために、五反田(及川光博)が活躍。花山のことを常子に「2度とペンは握らないとね」「なんだか疲れたって濁された」と説明する時、五反田の柔らかい口調が、花山の内面(戦争に疲れた感じとか実は繊細な部分)を捕捉して見える。唐沢の剛と及川の柔が絶妙なコンビネーションになっていて、ふたりがよく共演するわけがわかったような気がした。【白とと】

演出もがぜんていねい。同じ演出家とは思えない・・・。
これまでも雨のシーンは何度かあったが、この回の雨はなんだか情緒があった。
花山の妻・三枝子(奥貫薫)と子供・茜(渋谷南那)と常子の会話はとってもナチュラル。
コーヒー屋さん(巴里)で、花山に雇われているらしき人物・関元和四郎(寺田農)も佇まいに深みが・・・。
しかも常子が店に入って声かけた後、20秒も無音(その間、飾った絵〈花山作だろう〉を常子は眺めている)
の後、現れた。音声の故障かと思った。こういう遊びもこれまではほぼなかったのに。
オープニングの映像も変わって、生まれ変わったかのような「とと姉ちゃん」。
褒めてばっかりもなんなので、
時々出て来る貧乏描写(雨漏り)。【黒とと】 
花山に編集長になってほしいと考える常子の虫のよさ。【黒とと】

85回は、【白とと】8割、【黒とと】2割ってとこでしょうか。ずっと白でお願いしたい。
(木俣冬)