地上波5局の参院選特番を「制覇」した小泉進次郎氏(15年9月撮影)

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「選挙特番っていうか これ小泉進次郎特番じゃないか?」――2016年7月10日夜に民放各局が放送した参院選特番の中で、こんなツッコミが視聴者から引っ切り無しに飛ぶ一幕があった。

各局の番組が始まって間もない20時12分から37分までの15分間に、地上波5局(日本テレビ・テレビ朝日・TBS・フジテレビ・テレビ東京)全てが小泉進次郎衆院議員(自民党)の特集を放送したのだ。さらに20時22〜24分には、TBSを除く4局が同時に進次郎氏の姿を画面に映し出す「珍事」が起きていた。

進次郎氏に「結婚の予定」を聞く場面も

投票締め切り時間の20時前に放送が始まった各局の参院選特番。獲得議席予想と当確情報を一通り伝えた後、各番組は相次いで「進次郎氏特集」を放送し始めた。いずれも、番組の「顔」となるキャスターを起用して、進次郎氏の応援演説に密着した内容だ。

各番組では「参院選に出馬していない」進次郎氏について、番組の序盤に10分前後の時間を使って取り上げた。それぞれのコーナータイトルは以下の通りだ。

「18歳に『訴えたコト』 小泉進次郎氏×櫻井翔」(日テレ系)
「『18歳』狙う小泉流選挙戦 富川(悠太)キャスターが直撃取材」(テレ朝系)
小泉進次郎氏に新たな秘策 17000キロ密着の舞台裏」(TBS系)
「恐るべし!小泉進次郎 当選請負人...激戦区の旅」(フジ系)
「なぜ人をひき付けるのか? 池上(彰)が『小泉節』を分析」(テレ東系)

フジ系の「みんなの選挙」では、番組司会をつとめる宮根誠司氏が進次郎氏に密着。その中では、宮根氏が政治とは全く無関係な「結婚の予定」についてプライベートな質問を進次郎氏にぶつける場面もあった。

また、テレ東系の「池上彰の参院選ライブ」では番組序盤だけでなく、複数回に分けて進次郎氏の特集を放送。視聴率獲得をねらってのものか、番組のスケジュールを紹介する際には、進次郎氏の登場シーンだけ放送予定時刻が伏せられていた。

小泉進次郎のドキュメンタリーみたい」

地上波4局の参院選特番に「同時出演」した進次郎氏。こうした各局の編成に対し、視聴者からは「違和感」を訴える声が相次いだ。ツイッターやネット掲示板には、

「当確情報より小泉進次郎ばっかり出てくる」
「各局の選挙特番、小泉進次郎のドキュメンタリーみたいになってる」
「選挙特番っていうか これ小泉進次郎特番じゃないか?」

といった声がリアルタイムで数多く寄せられた。10日21時過ぎには、朝日健太郎氏や今井絵理子氏ら注目候補の名前に先駆け、ツイッターの「トレンドワード」にも進次郎の名前が登場した。

こうした話題ぶりには、「今回の選挙は小泉進次郎が主役なの?」「とうとう出馬していない参院選でも当確出したのかと思った」などと面白がる声も出た。その一方で、「視聴率取れるからって身も蓋もないな」「選挙に関係ないのに異常だよ」と批判的な意見も数多く見られた。

視聴率確保のためか、参院選特番にも関わらずひっきりなしに画面に姿を見せた進次郎氏。その一般人気ぶりは、「池上彰の参院選ライブ」で取り上げられた「ポスト安倍総理」に関するアンケート結果でも浮き彫りになった。

番組が実施した1000人を対象にした街頭アンケートでは、進次郎氏が231票を獲得して2位にランクイン(1位は「いない」で345票)。だが一方で、政治記者100人を対象にしたアンケートになると進次郎氏はランク外。1位は57票を獲得した岸田文雄外務大臣だった。