ブレグジットは雇用に悪影響? 年齢や地域によって考え方に差

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国民投票でEU離脱という決定を下したイギリス。その決定を理解し始めた国民の間に、不安が広まっている。多くの国民は、それによって他のEU諸国との正式な関係が断たれる恐れがあり、それが自分たちの職業人生にも悪影響を及ぼしかねないと懸念している。

これは、ロンドンに本社をくデータ分析会社ピーコン(Peakon)が発表した最新の調査結果だ。同社では6月29日から7月1日にかけて、3,000人のイギリス国民(雇用労働者のみ)を対象にオンライン調査を実施。すると多くの回答者が、EU離脱の決定が半年以内に自分の雇用にも影響を及ぼす可能性があるという考えを示した。

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若者の方が不安視

国民投票の結果が生活に及ぼす影響について、最も悲観的なのは若い労働者だ。ピーコンによれば、調査に回答した18歳から34歳の労働者のうち71%が、ブレグジットが自分の雇用の安定に悪影響を及ぼすだろうという一定の懸念を示した。全く心配していないと回答した若者も多くいたものの、全体として若者の方が年配の回答者に比べて懸念を抱いていた。

この結果についてピーコンのダン・ロジャース共同創業者は、若い労働者の方が経済的に安定していないことや、新しく、グローバルな企業で働いている傾向があることが理由だろうと指摘する。そうした企業はイギリスのEU離脱に懸念を表明しているからだ。さらに、それらの企業で働きたいと思っている若者が多いことも理由に挙げられる。

「多くの若者はグローバルな多国籍企業や、海外勤務のチャンスをくれる企業で働きたいと考えている。彼らは仕事において、金銭的側面よりも経験に価値を置く傾向があるからだ」

より年配の回答者の間では、雇用について全く懸念していないという回答がより高く、55歳から65歳の回答者では約49%、35歳から54歳の回答者では42%強だった。ロジャースはこれについて、年配の労働者は経験を積んでいるため安定した雇用に自信があることや「若者ほど経済的に不安定ではないこと」が理由だと説明する。

地理的要素

ブレグジットによる雇用への影響を懸念しているかどうかには、地理的な要素もある程度関係している。北アイルランドの場合、きわめて懸念しているという39%を含め、80%近くが懸念していると回答した。

北アイルランドとスコットランド(64.78%が懸念していると回答)の方が、雇用の安定に対する懸念の度合いが高く、これらの地域はEUとの関係を維持する方法を模索している。とはいえイングランドとウェールズの回答者も、半数以上(60%以上)が、ブレグジットによる雇用への悪影響をある程度心配している。

ロンドンでは、雇用への影響を懸念していると回答したのが71%。29%がきわめて懸念していると回答した。「ロンドンではEUとの貿易に関係している仕事が多い」とロジャースは言う。「金融、コンサルティング、メディア企業はグローバルに展開している」

性別の差は?

ブレグジットがイギリスの雇用に及ぼし得る影響について、回答者の性別による感じ方の差はみられなかったとロジャースは言う。「国民投票でも女性は残留派が多く、男性は離脱派が多いと予想されていたが、結果は性別による差はなかった。今回の調査でも、懸念の度合いに性別の差はなかった」

ピーコン自身は?

コペンハーゲンに事務所を構え、ヨーロッパやアメリカ、アジアに150の顧客を抱えるピーコンも今後への不安は感じているが、長期的にはそこまで不安視していないという。その理由について「収入源が分散されているから」だとロジャース。「イギリスの景気が悪化しても、アメリカやヨーロッパでもっと売ればいい。だがそこにも不確定要素はある。それらの諸外国との間での関税や貿易協定がどうなっていくかが分からないからだ」