世界的クリエイター・真鍋大度は“どこでも眠れるたくましさ”を持つ

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テクノロジーとアートを融合したメディアアートの分野で、トップクリエイターとして業界を牽引するクリエイティブ集団「ライゾマティクス」の取締役・真鍋大度さん。2008年、顔に電流を流す電気刺激装置を使った実験映像を発表し、瞬く間に国内外の注目を集めた真鍋さんは、最近ではプロジェクションマッピングを使ってPerfumeのパフォーマンス演出の技術サポートを行ったり、ドローンを使って舞台芸術の新しい表現に挑戦したりするなど、多くの先進的なプロジェクトを手がけています。
そんな才気あふれるトップクリエイターの睡眠事情とはどんなものなのでしょうか? メディアアーティストとしての視点から、睡眠の未来の可能性についても語っていただきました。

世界的鬼才の繁忙期は睡眠2〜3時間。立って仕事&椅子で昼寝する生活

世界的クリエイター・真鍋大度は“どこでも眠れるたくましさ”を持つ

「プログラマーやクリエイターの仲間には夜型タイプが多い」という真鍋さん。彼自身も世界中で引っ張りだこのメディアアーティストなだけに、仕事は山積みで夜型になりがちなのだとか。普段の生活であれば5〜6時間は寝るようにしているものの、仕事が忙しくなってくると、睡眠時間を減らすしかないといいます。
 
「ここ最近は明け方4時頃まで仕事をして、睡眠時間は2〜3時間。今は仕事が面白くて仕方ないので、睡眠時間を削るしかないですね。あとは、お酒が好きなので睡眠時間を削ってでも飲みに行くことも多いかな(笑)」
 
しかし、そんな夜型の習慣も、結婚を機に少しずつ変わったそう。
 
「昔は完全夜型で朝6時に寝るような生活でしたが最近は健康にも気を配るようになって、ここ3年ぐらいで普通に夜の時間帯に寝るいわゆる朝型のスタイルにシフトしてきていますね。仕事のピーク時以外は週1回、朝8時半からダンスのレッスンを受けたりして、頑張って早起きしてます(笑)」
 
そこで「真鍋さんにとっての睡眠とは?」と聞いてみると、真鍋さん自らプログラミングの技術を駆使し、これまでのTwitterやメール、インタビューなどでの発言から、関連ワードを分析。その分析によると、「睡眠=不足しているもの」という結果が。さらにこの結果から真鍋さんご自身の眠りを振り返ってみたところ、「睡眠不足がストレスになる」とのこと。また、たびたび日中は睡魔に襲われてしまうのだそうです。
 
「どうしても眠い時には、無理せず寝るようにしています。特に昼食後は絶対に眠くなるので、食後は昼寝が欠かせません。ただし、寝るといっても15分ぐらい。横にはならず、オフィスのソファなどに座って寝ています」
 
そんな真鍋さんですが、実はオフィスでは立って仕事をしているのだとか。
 
「プログラマーの世界では立って仕事する人はそんなに珍しくないんですよ。座って仕事をしていると、つい休憩するのを忘れて没頭したり、居眠りしたりしてしまいますが、立って仕事をすれば自然と疲れて座るようになる。定期的に休憩するクセがつくし、立ったままのほうが眠くなっても踏ん張れますね」

寝室にはベッドオンリー。 仕事とプライベートは完全分離主義

世界的クリエイター・真鍋大度は“どこでも眠れるたくましさ”を持つ

目覚まし時計さえあれば寝坊することはないと真鍋さんはいいます。そこで、現在の寝室の様子を尋ねてみると…。
 
「寝室には大きなベッドが一つあるだけ。音楽を聴いても本を読んでも、演奏の内容やフレーズが気になってしまって、どうしても仕事のことに結びつけてしまうんですよね。だから、DJのターンテーブルやレコードといった趣味の私物は全部会社に置くようにしています。家に置いてあるのは洋服と本くらいしかないかも(笑)」
 
ちなみに、実際に自宅で寝ているのは1年の半分ぐらいで、残り半分は仕事であちこち旅をしているとのこと。旅先では常に最適な環境で眠れるわけではないので、普段からどこででも眠れるように心がけているそう。
 
「どこでも眠れる癖をつけるため、アイマスクなどの快眠グッズは使わないようにしています。普段からウォシュレットを使っていると海外に行った時に困るのと一緒で、睡眠にこだわりすぎると、環境がちょっと変わっただけで眠れなくなってしまう。世界をフィールドに活動する限り、どこでもたくましく寝られることは重要だと思います」
 
そんな真鍋さんですが、実は「人生最大の失敗は寝坊」という意外なエピソードも。
 
「センター試験の日に寝坊したんです。緊張していたし、頑張って遅くまで起きていたせいかもしれません。もう間に合わないと思って、その日の試験には行きませんでした。“若気の至り”ですね、いまだに親には言っていません(笑)」

行き詰まったら、とりあえず寝る。 頭をリセットすることで新たなアイデアも

世界的クリエイター・真鍋大度は“どこでも眠れるたくましさ”を持つ

世界各地を飛び回り、仕事に没頭する生活を送る真鍋さんですが、忙しい中でも次から次へと新しいプロジェクトを生み出す発想力には驚かされるばかり。いったいそれらのアイデアはどこから生まれてくるのでしょうか?
 
「パソコンやスマホを触っていない時に思いつくことが多いですね。なんとなく頭の中にとっちらかっているいろんなアイデアが、何かのタイミングでパズルみたいにはまっていくんです。ベタですが、シャワーを浴びているときに思いつくことはありますね」
 
こうして生まれた独創的なプロジェクトが注目されて、最近ではテレビ出演も増えていますが、実のところ「人前でしゃべるのは苦手」なのだとか。
 
「仕事をする上で作品のプレゼンをすることもあるので、苦手なんて言っている場合じゃないと思い、一時期話し方教室に通っていたことがあるんですよ。ただ、いざ行ってみると自分より話すのが苦手な人が大勢いて自信が持てたので、すぐにやめました(笑)」
 
苦手を克服した真鍋さんでしたが、睡眠時間によって話の内容にムラができることもあったようです。
 
「考えてみると、テレビに出て話す時やインタビューに答える時に寝不足だと、平常時に比べて明らかに違いが出ますね。ちゃんと睡眠をとれているときなら順序立ててうまく話せるのに、徹夜明けだと話がうまくまとまらないんです」
 
一方で、「プログラミングは意外と徹夜でやっても大丈夫」という真鍋さん。ただし、行き詰まったらあまりのめりこまずに、いったん寝て頭をリセットすると良い結果が生まれることもあるといいます。
 
「僕らの作業の半分ぐらいはアイデアを出す作業というより、実際にプログラムを書くことです。パズルを解くのに似ていて、ときに解決方法を見つけることができない場合もあります。そんな時は思い切って寝る。寝ると頭の中がリセットされてシンプルな状態になり、驚くほどすんなりと問題が解決できたりするんですよね」

10年後にはスマホで睡眠を自在にコントロールできる? 真鍋さんが考える未来の睡眠とは

世界的クリエイター・真鍋大度は“どこでも眠れるたくましさ”を持つ

最近、JINSが発表したメガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」はメガネに付けたセンサーで眼球の動きによる電圧の変化を読み取り、疲労度や居眠りなどを可視化するという商品です。JINSで使われているセンシング技術に、以前から着目していた真鍋さんは、アートプロジェクトで睡眠時の眼球の動きを解析して睡眠状態をツイートする作品を公開していました。
 
「7、8年前、僕はセンサーをつけて生活し、寝ている間も歯ぎしりや眼球の動き、脳波などをツイートする試みをしました。技術自体は目新しいものではないんですが、メガネという身近なプロダクトにセンサーを入れて、しかもデータをSNSで公開するということが面白いなと思って試していました。自分が集中しているのか、眠いのか、どういった状態なのかをセンサーで知ることに興味があったんですよね。 生体データを通じた新たなコミュニケーションが生まれるかなということを考えていて、最終的にはやくしまるえつこさんとBodyhackという生体データをWebで公開する作品を作っていました 」
 
今後、このような睡眠にまつわる新しいデバイスの可能性は広がっていくのでしょうか?
 
「時間を設定するだけだった目覚まし時計から、今はスマホを使えば眠りの浅いレム睡眠のときに起こしてもらうことが可能になりました。おそらくもう少し経てば、悪夢を見ていたら起こしてくれるようなシステムも生まれるんじゃないかな」
 
さらに、睡眠をライフスタイルとリンクさせて自在にコントロールできる時代も間近とのこと。
 
「10年後には、脳の中に電極を入れて身体のデータを取り、デバイスを使って自分の身体の状態を知ることも可能になるはずです。身体のデータに基づいて、例えば“今この時間にご飯を食べると、○︎時間後に眠くなり、○︎時からの会議にベストコンディションで臨めません”といったことを把握できるはず。さらに生体データの解析が進めば、寝ている間に取得するデータによって覚醒時の行動をサジェストする様なことも増えていくでしょうね」
 
未来に実現するであろう最先端の技術について熱を込めて語る真鍋さんに、将来挑戦していきたいプロジェクトについて尋ねてみると、「コンセプトが一番大事で技術はあまり関係ない」という答えが。
 
「昨今のメディアアートは、最先端とうたっていてもパソコンを使えば誰でもできてしまうんです。だから、誰もが手に入る技術で、誰も思いつかないことをどうやって実現するかを考える。 僕にとっては“この人と一緒に仕事してみたい”というのが一番のモチベーションです。誰と一緒に、誰のために、誰に見てもらうかを大事にしているんです」
 
多忙なスケジュールの中で睡眠時間を確保し、仕事のうえでも上手に睡眠をやりくりして、創造力につなげている真鍋さん。「仕事のモチベーションを上げたい」「新しいアイデアを生み出したい」──そんなふうに考えるなら、真鍋さんの睡眠スタイルをヒントにしてみるのもいいかもしれません。
 

【眠りの黄金法則】

寝室にはベッドしか置かず、ただ寝るのみ立ったまま仕事し、疲れたら自然と座るスタイルで、集中・休息のメリハリをつけるどんな環境でも眠れるたくましさを心がけ、快眠グッズはあえて使わない

【ウィークデーの平均睡眠時間】

5〜6時間(繁忙期は2〜3時間+昼寝&居眠り)

【睡眠タイプ】

直感的に睡眠をコントロールし、仕事中の睡眠補給で創造力をチャージするタイプ
真鍋大度さんのフミナー度は『60%』、眠りが悪化している可能性があります。bnr_list_check

 

真鍋大度さん
真鍋大度さんメディアアートクリエイター。プログラマー、デザイナー、映像作家、DJ、VJとしても活動。「Perfume」の演出の技術サポートや、東京オリンピック招致のプレゼンテーション映像を手がけるなど、ジャンルやフィールドを問わずプログラミングを駆使して数々のプロジェクトに参加。文化庁メディア芸術祭、東京インタラクティブ・アド・アワード、New York Festivals Awards、Cannes Lionsなど、数々の受賞歴を持つ。