バングラデシュの首都ダッカのレストランで日本人7人が犠牲になるなど世界各地で多発するテロ事件。過激派組織の影響を受けた「ホームグロウン(自国育ち)」と「ローンウルフ(一匹おおかみ)」への警戒が高まっている。写真はフランスで開催中のEURO2016で警戒するパリ警察。

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2016年7月9日、「ホームグロウン(自国育ち)」と「ローンウルフ(一匹おおかみ)」。最近の過激派組織「イスラム国(IS)」などによる凄惨(せいさん)なテロ事件を読み解く二つのキーワードに、警戒が高まっている。さらに多くの人が集まり、警備が難しい「ソフトターゲット」が加わる。多発するテロに向き合う世界は難しい時期にさしかっている。

バングラデシュの首都ダッカのレストランで、日本人7人を含む20人が犠牲になった人質立てこもり事件。バングラ政府によると、実行犯5人は自国生まれの10代後半から20代の若者で、3人は高学歴の裕福な家庭出身だった。

ISとの関係について、バングラ政府は国内のイスラム過激派組織「ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ(JMB)」による犯行だとして当初は否定した。ISとの関係を認めると、海外からの投資などに悪影響が出ることに配慮しているとみられる。

しかし、IS系のニュースサイトなどは犯行声明や現場の写真を掲載。専門家の多くは直接の指示があったかどうかは別に、ISの影響下にあったのは確実とみており、バングラ政府もその後、何らかのつながりがあった可能性を示唆している。

昨年11月のフランス・パリ同時多発テロ事件。実行犯は三つのチームに分かれ、銃器や爆弾で武装しサッカー競技場とレストラン、劇場をそれぞれ襲撃。市民130人が死亡し、多数が負傷した。

ISが仏のシリア空爆への報復だとして犯行を声明。犯行当日やその後の治安部隊との銃撃戦で死亡した実行犯らは、主に仏やベルギー出身の移民2世の若者だった。

05年7月、英国スコットランドのグレンイーグルズで主要国首脳会議(サミット)開催中、首都ロンドンで地下鉄やバスが相次いで爆破された事件も事情は同じ。国際テロ組織「アルカイダ」系の組織が犯行を認めたが、自爆した実行犯4人は、いずれも英国籍のパキスタン系移民2世らだった。

米国の場合、「ホームグロウン」に、捜査の網にかかりにくい「ローンウルフ」の要素がプラスされる。13年4月のボストンマラソン爆弾事件の犯人は、難民として米国に移住したチェチェン人の兄弟。米連邦捜査局(FBI)などの捜査では、テロ組織との関連は見つからなかった。イスラム教に傾倒する中で、過激思想に染まり、米国への憎悪をつのらせたとみられる。

昨年12月、カリフォルニア州のサンバーナーディーノで起きた銃乱射事件の犯人とされたのは、警察との銃撃戦で死亡したパキスタン系米国人とパキスタン人の夫婦。事件後、フェイスブック上などISに忠誠を誓っていたことが明らかになった。

先月、死者49人と米国史上最悪の銃乱射事件となったフロリダ州オーランドのナイトクラブ襲撃事件で死亡した容疑者はアフガニスタン系の米国人。ISとの関係が一時疑われ、捜査対象になったが、監視対象にはなっていなかったという。

特に米国では殺傷能力が高い銃器が簡単に入手できる。テキサス州ダラスでは7日(現地時間)夜、警察への抗議デモの最中、警官が狙撃され、5人が死亡した。テロかなど事件の背景は不明だが、銃社会に恐ろしさを改めて見せつけた。(編集/日向)