10日、参院選で自民、公明の与党が圧勝。憲法改正に賛成する一部野党や無所属議員と合わせ、改憲案の発議に必要な3分の2以上の議席を確保した。改憲に一歩近づくことになったが、中韓両国は警戒している。写真は6月21日の9党首討論会。

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2016年7月10日、参院選で自民、公明の与党が圧勝。憲法改正に賛成する一部野党や無所属議員と合わせ、改憲案の発議に必要な3分の2以上の議席を確保した。衆院選挙に続いて、参院でも憲法改正勢力が勝利したことにより、改正に向けて踏み出す可能性が出てきた。

与党は衆院で既に3分の2以上を占めている。参院でも自民、公明の与党に加え、おおさか維新の党、日本のこころを大切にする会などを含めると、非改選議員と合わせた改憲勢力が3分の2を超えた。

中国は改憲勢力の勝利を警戒している。戦後日本の安全保障政策を大きく転換する安全保障関連法が3月末に施行された際、中国外務省は「アジアの近隣諸国がこの問題を注視してきた原因は歴史にある。日本が軍事・安全保障分野で慎重に行動し、隣国との相互信頼を深め、地域の安定に寄与する政策を実行するよう望む」と、クギを刺していた。また中国共産党系の環球時報は、先に「日本は『中国の要因』を利用して、平和憲法とこれまでの安保体制を捨て去ろうとしている」などと強い懸念を示した。

韓国や北朝鮮も国防軍の創設などを盛り込み、自民党の憲法改正法案を警戒している。韓国外交部は安保法施行後に、「韓国政府は一貫して、日本の防衛安保政策は平和憲法の精神と合致するものであるべきで、地域の平和と安全を透明に推進することに寄与するべきだ」との見解を表明。聯合ニュースは「安保法は憲法を根底から覆す悪法」と批判していた。

今回の参院選では与野党の論戦は最後まですれ違った。安倍晋三政権の経済政策・アベノミクスへの評価が分かれる一方、子育てや介護支援などの重点政策はほとんど争点にならなかった。財源への言及もあいまいで、投票の決め手に欠けたきらいは否めない。

世界の政治は過渡期にある。米大統領選の行方は見通せず、英国は国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた。中国などの台頭で世界経済や外交の環境が変化し、政治の難しいかじ取りが求められる場面が増えそうだ。少子高齢化がさらに加速する中で、どう日本の活力を維持し、社会保障を安定させ、財政健全化にメドをつけるのか。アベノミクスが行きづまりつつあるのも懸念材料。安倍政権はこれらに真剣に取り組む必要がある。(八牧浩行)