優れた「語り手」は仕事も恋愛も成功する? 調査結果で明らかに

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ここ10年ほどの間に、神経科学者たちは「物語(ストーリー)を語ること」についてより多くのことを明らかにしてきた。

確執や葛藤、決意など、感情的な反応を引き起こすような内容を含んだ説得力のある話を聞くと、私たちの脳内では化学物質が放出される。注意力を高めるコルチゾール、共感する力を高めるオキシトシン、そしてハッピーエンドであることを知って安心したときに放出されるドーパミンなどだ。

リチャード・ブランソン、シェリル・サンドバーグ、ビル・ゲイツ、イーロン・マスクなどをはじめ、現代のビジネス界にも人を鼓舞するような物語を「語る」ことができる多くのリーダーたちがいる。

それぞれに独自の考えを持つこの人たちは、自身の考えを他者に受け入れてもらうためには何らかの魅力的な方法で、自分自身と考えを「一つのもの」としてみせる必要があることを知っている──「物語」は、自分の考えを効率的に共有するためのツールなのだ。

私たちは何年も前から、ビジネスにおいては「語る」ことができる人が魅力的だと認識してきた。そうした人たちはキャリアの階段を上り、より効果的にチームをまとめ、ブランドを築き、売り上げを伸ばす。だが、彼らについてはもう一つ、最近になって分かったことがある。それは、仕事においてだけではなく、異性にとっても魅力的だということだ。

魅力は「言葉」に表れる

専門誌「ジャーナル・オブ・パーソナル・リスポンシビリティー」に掲載された研究結果によると、「女性は物語を語るのが上手な男性をより魅力的だと思う」

研究チームは、会話をしてもらい、その中で「語る」ことと魅力の感じ方の関連性について判断するため、3回に分けた調査を実施した。その結果、いずれにおいても「語る」ことが上手な人は「簡潔で説得力のある」話し方をしていた。一方で、そうでない人は「退屈な言葉でとりとめもなく」話していた。

また、興味深いことに、調査で優れた語り手だと判断された人たちには、ビジネス上でのコミュニケーションに長けた人たちと全く同じ特徴がみられたという。

3回の調査は全て、同じ結論を導き出した。「女性は優れた語り手である男性を、より魅力的であり、長期的なパートナーとして望ましい人物だと評価した」

研究を行った心理学者らによると、「語る」ことができる人は相手に対し、「自らが人との関わり方、感情の共有の仕方、弱さを見せる方法を理解している人間だということを示している」。そして、過去10年間の神経科学に関する研究で示されてきた結果から、この結論は正しいと考えられる。

前述のとおり、物語が深い感情のつながりを引き起こすのであれば、恋愛であれビジネスであれ、置かれた状況がどのようなものであっても、人間同士の間に同じようなつながりができることは、驚くべき結果ではない。

この調査結果を詳細に報じた米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事によると、さらに重要なのは、互いに相手に対して語りかけ続けることだ。

ビジネスにおいても同様だ。アップルやヴァージン、リッツ・カールトン、KPMG、ユニリーバなどは、ストーリーを語るブランドだ。これらの企業の幹部や管理職は常に進んで、自社の製品やサービスが顧客の生活の改善にいかにつながったかという物語を語る。そして、その物語はブランドが掲げる使命に命を吹き込む。これは、パワーポイントの資料に書かれた箇条書きの文章には決して成し得ないことだ。

WSJの記事によれば、「優れた語り手は、人生や恋愛においても幸福度が高い」。物語を語り、そして幸せになろう。