日韓両国を股に掛けて繰り広げられている「ロッテ」グループのお家騒動。韓国の検察当局が創業者の長女を逮捕するなど捜査に乗り出し、“骨肉の争い”は新たな段階に入った。写真は韓国の報道。

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2016年7月9日、経営の主導権をめぐり、日本と韓国を股に掛けて続く「ロッテ」グループのお家騒動。1年半以上にも及ぶ内紛収拾のめどが全く立たない中、韓国の検察当局は裏金疑惑などで捜査に乗り出し、創業者の長女を逮捕した。“骨肉の争い”は捜査のメスが入ったことで新たな段階を迎えている。

ロッテは、戦前に来日した重光武雄=韓国名・辛格浩(シンギョクホ)氏(94)が戦後、日本で創業。1965年の日韓国交正常化の前後に韓国へ逆上陸した。日本ではガムやチョコレートなどでおなじみの製菓業が中心だが、韓国では百貨店やホテルなどの流通・観光事業や化学事業でも成功を収めた。韓国での売り上げは日本の10倍にも上り、財閥の一つに数えられる。

日本の事業は長男の宏之=韓国名・辛東主(シン・ドンジュ)氏(62)、韓国の事業は次男の昭夫=同・ 辛東彬(シン・ドンビン)氏(61)がそれぞれ担当。武雄氏がその上に立って経営を行うという企業統治が確立していた。

異変は起きたのは昨年1月。宏之氏がロッテホールディングスの副会長を突然解任され、お家騒動が勃発した。7月には昭夫氏が代表権を得たほか、武雄氏を代表取締役会長から新設の名誉会長とする人事を決定。8月に開かれた臨時株主総会では、昭夫氏を中心とした現経営陣が信任され、ひとまず決着したはずだった。

ところが、10月なって宏之氏が「父親」というカードを切り出して、「会長は激怒し、あきれ果てている。会長本人をすぐさま元の地位に戻し、弟を含む関係者の処罰を望んでいる。私は父の意志を受け取り、訴訟を含めた必要なあらゆる措置を始める」と宣言。第2ラウンドが始まった。

今年3月に宏之氏側の求めで開かれた臨時株主総会で再び、現経営陣が承認され、6月25日の定時株主総会でも宏之氏側が提案していた現経営陣刷新案は否決された。しかし、宏之氏側は引き続き、臨時株主総会の開催を求めるなど、経営権も奪取を目指して争っていく構えだ。

6月の定時株主総会に先立ち韓国検察当局は、巨額の裏金を組織的につくっていた疑いなどで本社や武雄氏の自宅などの家宅捜索に着手。今月7日には武雄氏の長女・辛英子(シン・ヨンジャ)ロッテ奨学財団理事長(74)の逮捕に踏み切った。

韓国メディアによると、英子容疑者はロッテ免税店を総括していた。化粧品会社などの業者から出店などの便宜を図るよう頼まれ、計約30億ウォン(約2億6千万円)を不正に受け取った疑いなどがあるという。

さらに、検察当局は武雄氏と昭夫氏を出国禁止とし、捜査を本格化させる方針。聯合ニュースは「2人は数千億ウォンの横領・背任や裏金づくり、不公正取引などが疑われており、出国禁止措置で捜査に弾みがつくとみられる」と伝えている。(編集/日向)