猫人気が犬人気を上回る?

今、空前の猫ブームが到来しています。
猫関連の写真集や書籍は多く書店に並び、動画サイトやブログでも猫の飼い主がアップしたものは話題になります。その流行を裏づけるかのように、女性週刊誌『女性自身』の別冊、『ねこ自身』は10万部を記録する異例のヒットとなりました。

その猫人気はペットフード協会の犬猫の飼育頭数にもあらわれています。2014年10月末までの調査では犬の飼育頭数は1万436頭。2011年時点の1万1936頭から右肩下がりに減少しています。しかし、一方の猫は2011年の9606頭が2014年には9959頭に増加。犬の飼育頭数がこのまま下がり続け、猫の頭数が増えれば、近いうちに逆転も起こりうる状況になっています。

一年にかかる費用は猫17万、犬34万

なぜ、猫の飼育数が増えているのか? 
その理由のひとつとして考えられるのはコストです。2014年にアニコム損害保険株式会社が実施した「ペットにかかる年間支出調査」によれば、犬にかかる年間支出は34万円。それに対し猫は17万円と約半分です。

また、そもそもペットに関する支出が年々増加していることも「猫ブーム」を後押ししていると考えられます。同社の2010年の調査では犬にかかる年間支出は32万円、猫は16万円。少しではありますが、増加傾向が見られます。

また、少し古いデータになりますが、総務省がまとめた「ペット関連の支出」でも、平成7(1995)年から21(2009)年までの15年間で支出が1.7倍増加していることがわかっています。最近では景気が回復してきたとはいえ、不安が残る時勢。経済的に低コストで、かつ共働きや独身でも飼育ができる猫が好まれる傾向が強まっているのでしょう。

女性は男性の約3倍ペットにお金をかける

では、男女ではペットへの支出にはどのような違いがあるでしょうか?
平成27(2015)年の総務省の「家計調査」によると35〜39歳の単身世帯のペット関連支出は男性でひと月あたり1万434円。それに対し、女性は2万8249円と、男性の約2.7倍も支出していることがわかります。

また、34歳以下の単身世帯で比べると差はより顕著になります。男性が332円であるのに対し、女性は4990円。なんと15倍も女性の方が多く支出しているのです。

また、平成26(2014)年のデータを見ると、さらに驚くべきことがわかります。35〜39歳の単身男性は3215円。平成27年までに約3倍増えたことがわかります。一方の平成26年の単身女性のペット支出は2万2174円。約1.3倍の増加にとどまっています。男性のペットへの支出は女性に比べて急激に増加しているのです。

子どもを産む代わりにペットを飼う?

とはいえ、まだ男性よりも女性の方がペットにかけるコストが高いことは事実です。なぜ、女性はペットにお金をかけたがるのでしょうか? 

それを探るため、ひとり暮らしの女性がペットを飼った動機を見てみましょう。株式会社リブランが実施した調査によれば、首都圏のひとり暮らしの女性のペットを飼う理由の1位は「ひとり暮らしは寂しい」で約30%を占めます。続く2位は「ペットを飼うライフスタイルに憧れ、実家でもペットを飼っていた」で約24%です。

しかし、ここで注目したいのは女性ならではともいえるペットを飼う理由です。それは5位の「子育て感覚を味わいたい」というもの。約14%の独身女性がこの理由を挙げています。実は、前出の「家計調査」の1990年から2005年までの推移を見ると、ペット関連の支出が増加傾向にある一方で、子ども向けの支出が減少傾向にあったことがわかります。

1990年に約1万6000円であった子ども向け支出は2005年には1万3000円に減少。約20%も減っているのです。

この連載でも幾度か触れているように、日本の婚姻件数、そして出産数は減少傾向にあります。全国の男女の未婚率は30〜34歳で約35%、35~39歳で約23%。まだ結婚はできない/しない、まだ出産はできない/しない。そういう単身女性の消費が「孤独の埋め合わせ」として、そして「子育ての代わり」としてペットへと向かっているようです。

「ペットを飼う男は結婚できない」時代が訪れる?

また、女性の方がペットにお金をかけるもうひとつの理由として、男女の「消費傾向の違い」が考えられます。

平成26年の総務省「全国消費実態調査」によると単身世帯の男性の1ヵ月の実収入が約33万円であるのに対し、女性は25万円と約5万円少なくなっています。しかし、消費支出は男性が18.1万円、女性は18.5万円と女性が男性を上回っているのです。消費に対して、そもそも女性の方が積極的であることがペットへの支出にもあらわれているのでしょう。

ペットへ愛情を注ぎ、寂しさを紛らわす女性を揶揄するように「ペットを飼っている女性は結婚できない」とこれまでもよく言われてきました。しかしながら、先ほども書いたように、最近では男性のペットへの支出も増加しています。「ペットを飼っている男性は結婚できない」なんて言われる日も、やがて訪れるのでしょうか。

(安仲ばん)