東シナ海の上空で6月中旬、日本と中国の戦闘機が対峙(たいじ)する危機を招いていたことが明らかになった。事態をめぐる日中両国の言い分は真っ向から対立したままだ。資料写真。

写真拡大

2016年7月8日、東シナ海の上空で6月中旬、日本と中国の戦闘機が「一触即発」の危機になっていたことが分かった。日本側の「中国機が攻撃動作を仕掛けた」と指摘に対し、中国側は「航空自衛隊機が火器管制レーダーを照射した」と主張。双方の言い分は真っ向から対立している。

日中両国機の「危険な遭遇」は6月28日、元航空自衛隊空将の織田(おりた)邦男氏がインターネットのニュースサイトに発表した記事で明るみに出た。

日本メディアによると、織田氏は「後ろから近づいた空自機に中国機が正面から相対するような動き(攻撃動作)を見せ、さらに追いかけるような姿勢を見せた」と言及。空自機は、このままではドッグファイト(格闘戦)に巻き込まれ、不測の状態が生起しかねないと判断し、熱源を感知するミサイルから逃れる花火のようなものをまく自己防御装置(フレア)を使って離脱した、などと説明した。

これに対し、駐日中国大使館の薛剣・公使は29日の記者会見で、「攻撃動作を仕掛けた」との報道を「事実無根」と否定。「人為的に誇張しあおるのは下心があると思う。中日間の友好にも悪影響を与える」と批判した。

一方、萩生田光一官房副長官は同じ日の記者会見で、中国軍機が17日に日本に向けて南下し、空自機が緊急発進(スクランブル)していたことを認めた上で、その際、「近距離のやりとりがあった」と述べた。「やりとり」の詳細については明らかにせず、今回の中国軍機の動きは「特別な行動ではない」と述べるにとどめた。

ところが今月4日になって、中国国防省は談話で「日本のF15戦闘機2機が高速で接近挑発し、火器管制レーダーを中国軍のスホイ30戦闘機2機に照射した」との「新事実」を公表。日本側が「挑発行動」を仕掛けたとした。

国防省は日本側の主張が「白黒を逆転させており、人の耳目を惑わせている」と反論。空自機はフレアを作動させ、「逃げた」とし、「挑発的な行動は空中での事故を容易に引き起こし、双方の人員の安全に危害を加え、地域の平和・安定を破壊する」と日本側を非難した。

「火器管制レーダー照射」について、萩生田官房副長官は翌5日の記者会見で、「挑発的な行為を取ったという事実は一切ない。火器管制レーダーを使用して、ロックオンを日本側からしたという事実もない」と言明。「引き続き自衛隊による厳正な対領空侵犯措置を実施していく」と強調した。

防衛省によると、今年4〜6月に空自の戦闘機が領空侵犯などに備えて緊急発進した回数は281回で、うち中国機は199回に上る。国別の公表を始めた01年度以降、最多となった。中国機への緊急発進は前年同期比で85回も増加。沖縄県・尖閣(中国名・釣魚島)諸島方面に活動範囲を広げている傾向がみられるという。東シナ海の緊張は、空でもかつてないほど高まっている。(編集/日向)