東大・大学院の山田淳夫教授らの研究グループは、燃えにくい電解液を使用して高電圧と安全性を両立した4.6V リチウムイオン電池を開発したと発表しました。

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現状のリチウムイオン電池は作動電圧が3.7Vですが、高電圧化されることでさらに高密度なエネルギー貯蔵が可能になり、EVの航続距離を伸ばすことができます。

しかし、作動電圧を高くすると既存の有機電解液では副反応・劣化が発生してしまい、安定した充放電が難しくなるという問題がありました。

そこで、研究グループでは、リチウムイオン電池の高電圧作動を可能にする新規な難燃性電解液、すなわち「燃えにくい電解液」を開発しました。

この電解液は、同研究グループが2014 年に発表した「濃い電解液(高濃度電解液)」のアイデアに基づき、リチウムイオンの濃度を極限まで高めることによってリチウムイオ ン、アニオン(マイナスイオン)、有機溶媒分子が相互に結び付いたネットワーク構造を実現。有機溶媒に起因する燃焼性が格段に低下するとともに、高電圧作動時に発生する副反応を抑制することができ、既存電解液では不可能だった平均電圧4.6Vのリチウムイオン電池で100サイクルの安定した充放電に成功しました。

今回の新しい燃えにくい電解液のネットワーク構造は、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」(神戸市)を用いたシミュレーションで明らかになりました。

先日もマツダが、大型放射光施設「SPring-8」を使用して新素材の開発に乗り出すことが発表されたばかりで、自動車の技術開発も「京」や「SPring-8」のような世界的規模のツールを使用する段階に入ったことが注目されます。

(山内 博・画像:東京大学)

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