連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第14週「常子、出版社を起こす」第83話 7月8日(金)放送より。 
脚本:西田征史 演出:大原拓


事件です!
「とと姉ちゃん」20%超え記録が、81回(82回は19.4%〈ビデオリサーチ調べ、関東地区〉)でストップ。
なぜ下がってしまったのか。綾の惨状に対する配慮のなさ、意外と戦争にダメージ受けてないところやお金にしか興味ないところがやはり視聴者の気に障ったのであろうか。
気を取り直して、83回を、余計なお世話だが、点検してみよう。不安な点を【黒とと】としてみる。

冒頭は貧乏コントふう。でもとくに笑いがあるわけでもない。【黒とと】
ご飯(すいとん)を食べ終わると、女4人で雑誌作り。鉄郎(向井理)は手伝わないんか!【黒とと】
まあ、鉄郎なんて必要ない。がぜん絵や文の才能を発揮しはじめる美子(杉咲花)と鞠子(相楽樹)。昭和21年夏、できた雑誌(スタアの装い)は表紙なんてかなりいい感じでシロートが作ったとは思えないほどだった。そしてすごく売れてしまう。なんてすてきなドリームストーリー。が、このまま順風満帆にはいかないのかな。むしろ、いかないでほしいと願ってしまうが。【黒とと】
鉄郎は鉄郎で、ジーンズビジネスを始めて、もしかして大儲けしちゃうのだろうか。【もはやネタなのでここはスルー】

お金持ちになった時の想像する女4人。美子が夢見るたくさん食べることと、鞠子の夢見る売れっ子作家になることは具体的で彼女たちの意思がはっきりしていることがわかる。一方、常子と君子はちょっと豪華な家の中で着飾って笑っていることしか思い浮かべることができない。ただただ家のために生きていて自分を滅してしまっているということの表れだとしたら、なんだかものすごくブラックな描写だ。常子と君子、想像力が貧困で可哀想。鞠子と美子だってたいがいだけど。【黒とと】
作者はここで、意図はわからないが、常子の教養のなさを視聴者にツッコませようとする。例えば、甲東出版の人たちには、このての雑誌のことはつくったことがないからよくわからないと言われてしまうってことは、常子もそんなにわかってないはず。にもかかわらず、彼女が何か雑誌の勉強していたり、憧れのものをサンプルにしている場面はこれっぽっちもない。【黒とと】
「青鞜」のみが彼女を突き動かしているともいえるし、子供の頃から自然に美意識が身に付いているのかもしれない。モチーフになった大橋鎭子の母親は美大を出ているので子供たちにも情操教育ができていたと思う。

【白とと】パートは、五反田(及川光博)と花山(唐沢寿明)がおでん屋さんで語らい、花山の深い悩みがかいま見られるところ。常子たちがノーテンキな分、こっちでバランスをとっているようだ。
というわけで、今日の「とと姉ちゃん」は【黒とと】90%:【白とと】10% といったところ。 
(木俣冬)