都内最強餃子はこの5軒!老舗で味わう王道餃子の実力
新時代に突入している餃子界にあって、長い間、不変の一皿を提供し続けている名店がある。戦後のスタミナ食……そんなウンチクを超越し、美味しくするために今日も抜かりなく、手をかけ続ける店主が作るレジェンド餃子をご紹介します!
ふつう(1人前7個)¥650。基本となる餡は豚と白菜、セロリのほか、長ネギ、生姜に豚ガラスープも入ったオリジナリティあるもの。背脂、胡麻油、白絞油、五香粉で風味をつけ、醤油、日本酒で調味
創業63年!変わり種餃子も充実『餃子荘ムロ』
高田馬場
餡を包むのは注文が入ってから。ラードを敷いた鉄鍋で蒸し焼きにすれば、五香粉が心地よく香る「ふつう」の完成だ。豚と白菜を中心にセロリなども入った、この餡が昭和29年の開業以来、不変とは驚くが、この店は変わり餃子も名物。
ホクホク感が楽しい「にんにく」は古くからある定番で、2代目がピザから着想、「エダムが一番合った」という「チーズ」もあるが、これは今の場所に移転した45年ほど前の誕生というから、また驚く。オリジナリティを追求したから今がある。
スープが多く入った餡だから、「直前に包まないとダメになっちゃう」と2代目。餃子のバリエーションはほかにカレーや紅も。紅は唐辛子粉を白絞油で伸ばして寝かすことで「粉のザラつきをなくした」特製ダレが潜むピリ辛味。
再開発により、駅前から今の場所に移ったのは昭和44年。以来、変わらずに営まれている。
王さまの餃子(1人前6個)¥420。野菜はキャベツと韮で生姜&ニンニク入り。「いろいろな調味料」も使っている。餃子は20年ぐらい前に始めた肉餃子¥500もあるが、こちらはニンニク不使用
多めの油で焼いたカリッとした食感が魅力!『餃子の王さま』
浅草
老舗も多い浅草だが餃子ではきっと最古参。「戦後間もない頃に急造の小屋で始めた」と2代目も証言。昭和29年に店を構えたが、名はなく、ただ「餃子や」。客の助言で「王さま」を名乗るように。
当初から供す「王さまの餃子」は多めの油で揚げ焼いた皮が香ばしい看板料理。餡は野菜のみの潔さで、驚くほど細かく刻まれている。創業から継承された仕事に「少しでも美味しく」の心意気を実感する。40歳超えなら「昔の中華料理屋の味」と感涙必至です。
王さま餃子は「スピード勝負だから」と左右に2カ所のヒダだけで止める。冷蔵せず、すぐに焼くからヒダでしっかり止める必要がなく、「餡の水分だけでしっかり接着しているからノリも使っていません」と店主。
店頭で見られる、洒落っ気ある売り口上は初代の考案。「創業当時は餃子って誰も読めないから暖簾に読みがなも振ってあるんです」
餃子(1皿5個)¥250。餡は豚、キャベツ、白菜、ニラ、玉ねぎで、生姜もニンニクも含め、すべてで国産を徹底。卓上の酢だって「鮨屋が使う本物」で、ラー油は自家製。
1皿¥250で王道餃子が堪能できる!『亀戸餃子』
亀戸
平日の15時でも活気に溢れる店内。「週末はもっとですよ」と店に出て50年の2代目は笑う。昭和30年の創業以来、焼餃子のみを提供し続ける名店だ。着席すると自動的に1皿が到着。残り1個になるや否や、もう1皿。“1人2皿は必ず”も、ずっと不変のルールだ。
野菜中心の餡はさっぱり、焼きに使うラードの甘さとコクも抜群で、スルスルと胃に収まっていく。残り1個で「お代わり?」と絶妙の間で女性店員。「ウチの記録は女性で30皿」とまた笑う2代目。こちらも迷わず「お代わり!」
焼きに使うラードは純生タイプで味わいの異なる2種を独自にブレンド。それが1週間で「10缶もなくなる」と2代目。
売り切れ次第、営業は終了。だいたい19時頃が目安だとか。
中皿定食(1人前12個)¥1,070。小皿は8個、大皿で16個。ご飯に味噌汁付きが定食でキャベツの漬物も付く。「餡にニンニクは使っていませんから漬物にニンニクの風味を付けている」と3代目
皮を美味しく食べる!『スヰートポーヅ』
神保町
端の開いた餃子で知られる名店だ。包まれていないから焼く過程で粗挽き豚の旨みが皮にも浸透。底面はパリッと香ばしいが、皮自体がしっかり美味しく、餡で肉の存在感も十分という、この店の餃子は仕上がるのだ。変種と思われがちだが、昭和7年の中国・大連で始まり、神保町での開店も昭和11年の出自を聞けば、これこそが、巷に溢れる焼餃子のオリジンでは?
単品をビールで攻めるもよし、ご飯と一緒に喰らいつくもよし。この国に餃子がある幸せを噛み締める。
左右がぱっくり空いた餃子の底面に白絞油をちょんとつけて鉄板に並べていく。餡は豚の粗挽きにキャベツ、玉ねぎ、生姜という構成。定食のほか、単品やご飯付き餃子ライスもあり、焼餃子以外では水餃子(8個)¥700、椎茸や筍が餡に入る天津包子(5個)¥810もあって旨い。
神保町・すずらん通りでずっと変わらない佇まい。
水餃子(6個)。皮に白玉粉を入れることで、もちもちの歯応えの中にも、ツルンとした滑らかさが生まれた水餃子は、溢れる肉汁も美味の秘訣
もちプリッな食感に酔いしれる『広東料理 龍天門』
恵比寿
“無添加、手作り、作りたて”のポリシーのもと日々作られる飲茶餃子は、いずれも熟練の技を感じさせる端正な出来栄え。中でも蝦餃子の透けるような皮の薄さ、プリプリとした具の食感はさすが。蝦餃子を食べればその店のレベルがわかると言われるのも納得の旨さだ。それも、この道10数年のベテラン点心師ならではだろう。
また、陳啓明総料理長肝入りの水餃子も隠れたベストセラーメニュー。「水餃子は皮が命。この食感にするため、試行錯誤を重ねた」というそれは、つるんと滑らかな舌触りともっちりした歯応えも絶妙。小籠包の如く飛び出す肉汁が後を引く逸品だ。
アツアツのうちに素早く、かつよく練ることで透明感のある薄さに仕上がるのだ。
恵比寿のウェスティンホテルの中にある龍天門。内装は黒とゴールドのエキゾチックな雰囲気。