もしかしたら午前中はずっと座っていたかも...

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デスクワーク、テレビを見る、電車や車での移動...。現代人は座ることが多い生活を送っている。

近年、長時間座りっぱなしでいると肥満や糖尿病、がん、うつなど心身の健康に悪影響を及ぼし、死亡リスクも高くなることが海外の研究で明らかになってきた。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどでは、すでに国を挙げて「座りっぱなし」を防止する対策が行われている。

働く世代の「座る」時間を調査

日本人は、世界一座る時間が長いといわれているが、これまで国内の働く世代を対象にした研究は少なかった。

2016年6月18〜19日に行われた日本運動疫学会では、働く人を対象にした座ることに関する研究が2つ発表され、注目を集めた。

研究は、早稲田大学スポーツ科学学術院、筑波大学体育系の研究者らが行ったものだ。

一つは、住民基本台帳から無作為に選ばれた40〜64歳の男女355人に、活動量計をつけてもらい、どのくらい座っているかを調査した研究。

355人のうち、7割はデスクワークをしている人で、そのほかは立ち仕事、歩き回る仕事、力仕事をしている人だった。調査の結果、デスクワークをしている人は、活動量計をつけている時間のうち、62パーセントを座って過ごしていた。その他の仕事では約40パーセントだったという。休日は、勤務日よりも長い時間座って過ごしていた。

立ちながら仕事をすると集中力が増す

もう一つは、机の高さを変えることで、立ったままでも仕事ができる「昇降デスク」を導入した国内企業との共同研究だ。

ときどき立って仕事をするスタイルは、社員の健康に役立つだけでなく、生産性も向上させるといわれていて、海外では、実践している企業はめずらしくない。日本でもIT系など一部企業が導入しているが、社員がどう感じているかの調査は今まで十分に行われていなかった。

研究チームが昇降デスクを使用した社員にインタビューしたところ、一番多かった感想は、「集中力が高まった」だった。そのほか、「腰や肩の痛みなど身体的な負担が軽減した」という声も寄せられたという。

一方で、疲労感を訴えた人もいた。立つのが面倒くさいという意見や、キーボードが打ちにくいなどの不満があることもわかった。

今回、調査した企業では、社員に対し昇降デスクの使用方法やどのように健康に役立つかといった説明が十分にされていなかった。

これまで立って仕事をする習慣がなかった社員に昇降デスクを継続して使ってもらえるかどうかは、座りすぎの健康リスクについてきちんと知らせること、PCを快適に操作できるアクセサリーや立ったときの体の負担を軽減するグッズを充実させることも大切だとわかった。

研究に携わった早稲田大学の岡浩一朗教授は、「座ること自体でなく『座り続けること』が問題。仕事中は30分から1時間に1回は立ち上がって少しでも動いてほしい」と言う。

「デスクワークの場合、仕事は座ってするものだという意識を変える必要があります。ちょこちょこ立ち上がるとか、ときどき立って仕事をすることが健康に役立ち、仕事の効率もアップさせる良い習慣だということを多くの人に知ってもらいたい。そして、すぐに行動に移してほしいと思っています」(岡教授)。

(Aging Style)