専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第62回

 ゴルフと株の取引は、"マネジメント"において似ている部分が結構あります。実際、有名な株のトレーダーがゴルフにはまって、「ゴルフと株は、戦略がそっくり」としみじみ語っていました。そんな名人が言うのだから、信憑性があるでしょ?

 それで試しにと、株取引の"格言"でゴルフに当てはまるものを調べてみたら、驚くべき類似性を発見しました。

 まず、まるっきり一緒の格言がこれ。

「コツコツ、ドカン!」

 株取引において、こつこつと稼ぎながら、最後にドカンとやられて、今までの稼ぎを失うことを意味します。

 どうです? ゴルフでもよくある話でしょ。こつこつとボギーを積み重ねながら、「今日は80台が出るかな」なんて思った瞬間、大叩きをしてしまう。ゴルフではスコアを失いますが、株では現金が飛んでいきますからね、その悔しさは相当なものですが......。

 続いての格言はこちら。

「遠くのものは避けよ」

 これは、海外のような遠くの銘柄は避けよ、というのが本来の意味です。今は「知らない銘柄には手を出すな。身近なところから攻めよ」という使われ方をしています。

 これをゴルフに当てはめると、水切りショットなど、やったことのないことはするな。自分の慣れ親しんだクラブと打ち方(自分ができる技術)で勝負しろ、ということです。

 林にボールが入って、バッバ・ワトソンみたいにフックをかけようとする人を見かけますが、そもそもあなたは練習場でフックの練習をしていましたか? それもしないで、単に漫画の主人公になりきって打ってはダメですね。

「木を見て、森を見ず」

 すぐ目の前の現象だけを見ずに、相場全体の流れを見て判断しなさい、という教えです。

 例えば、先ほど買った銘柄がラッキーなことにすぐ上昇したので、利益を確定して2000円ゲットしたとします。それはいいけど、冷静に考えてみれば、実はその銘柄は非常に勢いがあって、リバウンドが始まったらとてつもないパワーが出る代物。結局、そう思っている矢先に急上昇し、「うへぇ〜、3万円儲け損なった!?」といったことが株取引ではよくあります。ほんと、目先だけの取引で、なんぼ儲け損なったことやら......。

 同様に、ゴルフも目先のことだけを考えて失敗することが多々あります。例えば、残り170ヤードのセカンドショット。ただし、狙うは砲台グリーンで、周囲はアゴの高いバンカーばかりとなれば、上からドスンと落とすショットを打たない限り乗りません。

 その際、普通なら刻みますけど、残り170ヤードという距離のことしか頭にないから「届く距離じゃん」とマン振り。結局、バンカーにつかまって、高いアゴからも脱出できずに叩きまくり......。よくあるパターンですね。ゴルフも全体像をつかんでプレーできたら、まあ80台は堅いんですけど。

「アタマとシッポはくれてやれ」

 これは、野良猫にあげる魚のことじゃないです。相場の上昇開始から天井まで、丸ごと全部儲けようとしないで、上昇局面の途中に少し利益が出ればいい、ということ。貪欲はケガのもと、何事も腹八分目が肝心、という教えです。

 同じくゴルフも、腹八分目がいい案配です。ボギーメインで時々ダボ。たまにパーというプレーで十分じゃないですか。この5mのパットを入れたらパーだと、強気で狙って打ったらかなりオーバーして、返しも外してダボ。誰もが経験しているんじゃないですか。

 5mのパットなら、最初からオーケーをもらえる距離を打てばいいんですよ。「ラインを消して、ボールが曲がる前に入れなきゃ」とか言って、欲をかいてやっているから叩くんですな。

「江戸の仇(あだ)を長崎で討つ」

 これは、すぐ目の前で仇を討つのではなく、巡り巡って遠いところで仇を討つ場合がある、というお話です。株取引で言うと、今失った損失を、その銘柄で取り返すのではなく、一旦頭を冷やして、別なときに別の銘柄で儲ければいい、という格言です。

 これもそのまま、ゴルフのプレーに当てはめることができます。

 例えば、残り220ヤードのセカンドショット。5番ウッドでマン振りしたら、チョロで30ヤードしか前進しませんでした。ここで、「悔しい〜、頭にきた!」と、残り190ヤードも同じクラブでマン振り......って、今それでミスしたばかりじゃないですか。まあ、おおよそ再びミスしますね。身に覚えがある人もたくさんいるでしょう。

 本来、そんなときは謙虚に、できれば慣れたクラブに代えて、「グリーン周りまで届けばいいや」と思って打ったほうが賢明です。ピン狙いは、また別の機会に、ショートホールや得意距離のセカンドショットのときにでも狙ってください。そんな教えです。

「行き過ぎもまた相場」

 相場は十分下がったと思っても、また下がることがあります。ゴルフも一緒ですね。叩くときは、もう十分叩いたと思っても、さらに叩いてしまいますから。

 下手だった頃、前半60台を出してしょげていたら、後半もしっかり60台を出してしまいました。あと、久々に前半10オーバーのスコアを出して落ち込んでいたら、後半も大叩き。あのときはへこみました。

 でも、不思議といいスコアは行き過ぎがないんですよね。前半に30台が出て、後半も30台って滅多にないです。ベストスコアの「75」を出したときも、前半「35」、後半「40」でしたから。ぜひいつか、いい方での"行き過ぎ"を目指したいです。

 そうそう、最後にゴルフと株が一番似ているところを発見しました。これは、私のオリジナル格言です。

「単純な行為を覚えるのに数年かかる」

 株は「安く買って、高く売ればいい」だけの話。同じくゴルフも「クラブを上げて、振り下ろせばいい」だけのこと。一見、どちらも単純な作業に見えるのですが、うまくなるまでには時間がかかります。だから悔しくて、夢中になるのかもしれませんね。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa