昨年日本のテレビ局が放送したドキュメンタリー番組で紹介された、羽田空港の清掃員女性のエピソードが近ごろ、中国国内で高い関心を集め、大きな議論を呼び起こしている。中国残留孤児二世という女性が清掃の仕事を極め、多くの人からリスペクトされるようになったというストーリーに、中国人の多くが感銘を覚えたようである。(イメージ写真提供:(C)Ping Han/123RF)

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 昨年日本のテレビ局が放送したドキュメンタリー番組で紹介された、羽田空港の清掃員女性のエピソードが近ごろ、中国国内で高い関心を集め、大きな議論を呼び起こしている。中国残留孤児二世という女性が清掃の仕事を極め、多くの人からリスペクトされるようになったというストーリーに、中国人の多くが感銘を覚えたようである。

 中国メディア・南方日報は5日、「清掃員が国宝級の匠になったことの啓示」とする評論記事を掲載した。記事は、羽田空港の女性清掃員の話題が中国のネット上で大人気となっており、ネットユーザーの多くが「社会的地位が高くなさそうな職業から、国宝級の匠としてリスペクトされたこと」に感動したと紹介。「これは、今提唱されている匠の精神と図らずも一致するものだ」と伝えた。

 そして、ネットユーザーを感動した女性の「匠の精神」が持つ、最も直接的な部分は「清掃作業を極致まで高めるという態度」であると解説。「きれい、汚い以外は『触れも見えもしない』というのが清掃の仕事」と認識する人が一部でいるとしたうえで、女性は「親切心を持ち、しっかり考えれば、多くのことを発見できる」との認識を持っているとした。

 さらに、女性の「心」の素晴らしさは、「清掃員としてちゃんと汚れを落とさなければ安心できない」というプロフェッショナル精神とともに、「小さい子どもが遊ぶ時」などといった、清掃作業とは直接関係のなさそうなことまで考慮に入れて仕事をするという心配りの2点によって表わされるとしている。

 また、資格制度の存在により目標を持って仕事ができる点、さらに「仕事」にスポットを当てたドキュメンタリー番組を通じて、様々な仕事への認知が広がるとともに、プロ意識や匠の精神が絶えず伝わるという社会環境も、日本において「国宝級」の清掃員が生まれる要因であるとの見方を示した。

 なぜ今のタイミングで中国メディアがこぞって取り上げたのかについては、中国共産党や政府が今年に入って、工業モデルの転換を目指す上で「匠の精神」を養うべしとする大号令を発したことと関係がある、と見るのが自然だろう。そして、女性が中国残留孤児2世という「中国出身」者だったことも、注目される大きな要因となったことは間違いない。ただ、このエピソードで大切なのは、彼女の生い立ちではなく「仕事を極める」という姿勢なのだ。南方日報は記事のなかで、「中国出身者が日本で喝采を浴びた」という中国の一部メディアの伝え方に対する苦言も呈していた。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)Ping Han/123RF)