連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第14週「常子、出版社を起こす」第82話 7月7日(木)放送より。 
脚本:西田征史 演出:大原拓


「さんざん悩んだんだけど」(常子)
「あの長かった戦争、生き抜いてきたわけじゃない。この先、どんな失敗があったとしてもあれより辛いことはないと思うの」(君子/木村多江)
さんざん・・・2話分くらい。
長かった戦争・・・最も激しい時期は1週間。
上手に時間をすっ飛ばした結果、常子(高畑充希)は独立して出版社を起こすことに。
さんざんお世話になって、戦争が終わったら一緒に雑誌を作ろうと約束した甲東出版の人たちに、明るく毅然と辞表を出す常子。これくらい悪びれないほうが気持ちよく送り出してもらえるのかも。辞める時の参考にしたい。

常子の行動は、社員から搾取して生き延びていく「会社」という資本主義のさりげない批判とも解釈できないこともない。甲東出版の谷はそういう感じじゃない気もするが、ともあれ、常子は自主独立の道を歩むのだ、それも家内制手工業的な家族経営で。こういう生き方は今日にも通じる話ではある。

妹たちも巻き込んで、家族で雑誌を作ろうと試みていると、鉄郎(向井理)が手伝うと言って首をつっこんでくる。図体は大きいが、昼まで寝ていたりお金を誤摩化そうとしたりとダメっぷりを発揮し続け、今後もとくに役にたちそうな気がまったくしない叔父さんに代わって、水田正平(伊藤淳史)という新しいお助け人が登場。おかげで出版に必要な紙を安く仕入れることができた。
常子たちから大金を巻き上げようとした紙業者を演じているのは、声優の平田広明。「ONE PIECE 」のサンジ役でおなじみ。西田征史が脚本を書いた「TIGER&BUNNY」にも出演していた。「とと姉ちゃん」で声優が出るのは57話の洋裁店店主を演じた緒方賢一に次いでのこと。「真田丸」の高木渉(「名探偵コナン」の小嶋役)や「家族狩り」(14年TBS )の井上真樹夫(ハーロックや石川五右衛門)など人気声優のドラマ出演が増えているなあと思う今日この頃。これも、時代の変化、新しい価値観の台頭の表現のひとつかもしれない。
(木俣冬)