岸辺露伴=荒木飛呂彦先生?


今回から登場するスタンド使いの岸辺露伴、その正体は荒木飛呂彦先生ご本人……ではない。マンガと現実をごっちゃにするのは良くないことだ。


が、ほぼ露伴ニアリーイコール飛呂彦。一つ、どちらも天才マンガ家だ。露伴と同じく16歳の時にデビューとは行かなかったが(ゆでたまご先生がその歳でデビュー)荒木先生も『武装ポーカー』が第20回手塚賞に準入選して二十歳の若さでデビュー。

ふたつ、二人の作風はそっくり。露伴の代表作『ピンクダークの少年』がどんな漫画かは不明だが、康一くんいわく「サスペンスホラーって言うんですか? 生理的に気持ち悪いシーンもあるんですけど迫ってくるようなスリルと本当にいるような登場人物がいいんですよね」。それ、ジョジョの説明ですよ!

3つ、マンガ家として異常な速筆であること。アシスタント無しで週4日で一本描く露伴には及ばないが、荒木先生も週5日で週刊連載マンガ1本を描いていたんだとか。しかも『週刊少年ジャンプ』在籍時は、一回も原稿を落としたことも休載もなし。負けん気が誰よりも強い露伴がこのことを知ったら(来週の話を見れば「休載」の理由が分かります)、「ふん、そんなの関係ないね!」と強がるかもしれない。

第四部のスピンオフ『岸辺露伴は動かない』(Blu-ray全巻購入特典としてアニメ化!)の主役にも抜擢された露伴だが、“現実”にやって来たこともある。第三部のスタンド使い・オインゴが描いた(劇中のコマを拾ったもの)『オインゴとボインゴ兄弟大冒険』に寄稿した解説だ。

そのタイトルは「天才は天才を知る」と作者と一緒に自分も持ち上げ、さんざん褒めちぎった後に、スタンドが自動で描いたマンガと知るとボロクソ。「まぁ結論として、僕の作品を超えるマンガなんて、この世には存在しないということだ」。やっぱり露伴先生にジョジョを読ませたい!

第14話は、こんなお話


『ピンクダークの少年』を連載する人気マンガ家・岸辺露伴が杜王町に住んでいると知り、その自宅にサインをもらいに行った康一と間田。露伴は歓迎してくれたばかりではなく仕事場まで見せてくれて、二人は大興奮。しかし。度を越したリアリティへのこだわりに、康一は徐々に恐怖を覚え始めるのだった。

露伴がガン見する提供絵


「ところで康一くん、漫画読むの好き?」と重要キャラ・岸辺露伴と出会うきっかけを作ったのは、元・敵スタンド使いの間田敏和。ルックスといい性格といい小者オブ小者だが、「スタンド使いは引き合う」という名セリフの発明者でもあり、実は第一部のワンチェン(というと微妙だが)に匹敵するキーマンだ。

間田が露伴の情報を小耳に挟んだという情報源(盗み聞き)の不動産屋、後ろ姿がのちに露伴と深く関わるあの人だ! このシーン、もちろんアニメオリジナルの追加である。

16歳でデビューして一戸建てを購入した大人気マンガ家は、「岸辺」とデカい表札をかけていて隠す気ゼロだ。上級生(間田)の命令で、ピンポンを押そうとする康一くん。その手をムギっとつかみ、ドアの向こうから目がイッてる岸辺露伴が登場……その顔を提供絵(スポンサーが表示される画面)にするのは怖いよ!

オニグモを味わってリアリティを追求


「あーその顔は! 岸辺露伴! 新年特大号の表紙の写真で見たまんまだ〜!」

今はもう見られない連載マンガ家の集合写真、90年代ジャンプを思い出してしみじみする間田のセリフ。

「なんだね君たちは。何してる?」

そう口を開いた露伴の声は、ゲーム版の神谷浩史さんに替わって櫻井孝宏さん。承太郎の小野大輔さん=十四松に続いて櫻井さん=おそ松で、ジョジョが『おそ松さん』に侵食されていく感じも。

初対面のホラー顔はどこへやら、快く仕事場まで案内してくれた露伴先生。いやあ気のいいマンガ家さんだな〜。「漫画家のうちへ遊びに行こう」というタイトル通り、今回は平和な日常回かなあ(すっとぼけ)。

プロの現場に浮かれる二人の前で、露伴はしだいに本性を現す。間田の肩にいたオニグモを捕まえて、いきなり始まるマンガ教室。面白い漫画というものはどうすれば描けるか?

「『リアリティ』だよ。リアリティこそが作品に命を吹き込むエネルギーであり。リアリティこそがエンターテイメントなのさ」
だから蜘蛛をペンでほじくり返し、糸はどの穴から出てどういうふうに内臓が詰まっているのか。腹を割かれた蜘蛛は死ぬ前にどんな風に苦しみもがくのか調べる。どれ味もみておこうとレロレロ……原作では美味そうに「ペロッ」とはしてなかったけどね!

間田がゲロを吐く表情までスケッチを始め、嘘っぽい演技で興味がなくなる露伴先生は筋金入りのプロ。やっばりマンガ家って職業の人は世間のイメージ通り!(サンプルが極端です)

「勘って言うんですか? 露伴先生のことやばいって予感が…」

悪い予感が当たることに定評ある康一くんが帰ろうとすると、間田は心配し過ぎだと引き止める。

「それに仮に露伴先生がスタンド使いだったとしたら、俺は逆に嬉しいね!こんな有名な漫画家と仲間ってことになるんだもんなー」

スタンド使いが仲間どころか敵になると証明したのは間田、おめーだよ!

しかしマンガ好きの欲望には逆らえず、机の上に置きっぱなしにしていた生原稿を盗み読みしてしまう二人。お、面白いよ! もちろん、露伴のワナ。我が原稿を一番最初に読んだ相性のいいものだけが私の能力「ヘブンズドアー」によって心の扉は開かれる! そして生きたまま「本」に変えられる二人。担当編集さん、毎回「本」にされてるんでしょうかね……。

熱きマンガ家魂でゲスな行いをするプロの中のプロ



CM明けのBパートは。杜王町の名所・岸辺露伴の家の紹介。いや個人の家だし、名所にしちゃマズイ!

ヘブンズ・ドアー、それは人を本に変えて全ての記憶を読み取る能力。悪事に使えばなんでもやりたい放題なのに、露伴の眼中には「リアリティ」しかない。他人の人生や体験を読むことでリアルなアイディアを提供してもらう、純粋に漫画のネタ集めしか興味ないのだ。

康一くんの半生が丸裸にされ、1999年のページに差し掛かるや露伴の目の色が変わる。スタンド使い!僕は漫画家として最高のネタをつかんだぞ広瀬康一くん。そうか、荒木先生もこうやってネタを……?

エコーズACT2を出した康一くんんに対して、焦りもしない露伴のコメントがいい。

「君は普通の人より大分怖がりで他人からは軽く見られがちだが。いざとなったら恐怖を克服できる勇気を持っている」

本当にその通り。ふだんは頼りないがやるときはやる、大事な人を守るためなら覚悟を決められるし成長性も高い。仗助よりも主人公体質じゃないの?

「実に気に入ったよ。君の性格、読者からもきっと好かれると思うよ』」

はい、大好きです!

褒められていい気になってる場合じゃない康一くん=エコーズは音の攻撃を投げつけるが、思いっきりコントロールがおかしい。これぞヘブンズドアーのもう一つの力、記憶(本)に書き込んだことが真実になる。「岸辺露伴を攻撃することはできない」という「安全装置」がかけられていた……。

少し余談。この書き文字は第三部の花京院と同じ筆跡で、「舌でレロレロ」も一致していて、二人は同一人物説……は冗談として、荒木先生が書かれたであろう「ジョジョフォント」のデータはマジにほしい。

なおこの後、間田のプライバシーも読み上げられますが、あまりに憐れなので割愛させて頂きます。別に蒸れたときに位置を直したっていいじゃない!

実力行使を封じられた康一くんは「20歳にしてこんな素晴らしい家に住んでるじゃないですか!同世代の誰よりも恵まれています」と情けに訴えかける。が、ザ・逆効果。

「この岸辺露伴が金やチヤホヤされるために漫画を描いていたと思っていたのか!!」
「僕は読んでもらうために漫画を描いている!読んでもらうため!ただそれだけのためだ」
「単純なただ一つの理由だがそれ以外はどうでもいいのだ!そして僕は読んでもらうため毎日毎日リアリティのあるネタを探し続けている」

まるで荒木先生が乗り移ったような熱いセリフを言いながら、康一くんのページを引きちぎり高笑いする露伴先生のゲス顔、最高です!

「露伴先生っていい人だったな」
「ほんと楽しかったですね」

露伴の家を出た二人の和やかな会話が恐ろしい。記憶が改ざんされている……。ページを奪われた康一くんは20kg激ヤセして19kgに。元々の体重が39kgって、女子?

「安全装置」のために仗助達に相談もできず、翌朝また露伴の家にフラフラ引き寄せられていく康一くん。が、露伴宅の前に現れる仗助と億泰。学校と反対側に行くからと、康一くんを心配して後をつけてきたのだ。友情って素晴らしい、露伴先生のゲス顔も来週また見られるのは素晴らしい!
(多根清史)