就労状況にある女性の57%が非正規雇用という現代。非正規雇用のなかで多くの割合を占める派遣社員という働き方。自ら望んで正社員ではなく、非正規雇用を選んでいる場合もありますが、だいたいは正社員の職に就けなかったため仕方なくというケース。しかし、派遣社員のままずるずると30代、40代を迎えている女性も少なくありません。

出られるようで、出られない派遣スパイラル。派遣から正社員へとステップアップできずに、ずるずると職場を渡り歩いている「Tightrope walking(綱渡り)」ならぬ「Tightrope working」と言える派遣女子たち。「どうして正社員になれないのか」「派遣社員を選んでいるのか」を、彼女たちの証言から検証していこうと思います。

☆☆☆

今回は、都内で派遣社員をしている小野綾子さん(仮名・36歳)にお話を伺いました。ロングヘアをふんわりと巻いて、半袖のニットに短めのスカートの綾子さん。甘めなコーディネートと小柄なのもあり、とても36歳には見えない外見です。そんな彼女に、どうして派遣で働いているのかを聞いてみました。

綾子さんは都内にある女子大の英文科を卒業。保険会社に正社員として入社します。

「親から、金融や不動産会社、保険なら潰れないからって言われて、なんとなく就職活動をしました」

しかし、安定と思われた就職先でしたが、綾子さんが勤務していた保険会社は吸収合併し、早期退職制度で依願退職してしまいます。

「合併後に、給与など見直しが入って微減したんですよね。合併先の社員と比べると、昇給などで差が出たり。系列会社への配置転換を言い渡されたのをきっかけに、早期退職制度で退職しました」

まだ今よりも景気が良い時代だったため、就職先はすぐ見つかったと言います。

「保険とは別業界でしたが、PRを行なう会社に再就職しました。プレスリリースを作ったり、休日も返上してイベント運営を手伝ったり。やりがいはあったのですが、膀胱炎を放置していて腎盂腎炎で入院する羽目になって」

綾子さんが、仕事に励んでいたのは理由がありました。

「同じ会社にいた男性と付き合っていたのですが、彼が別の女性とデキ婚してしまって。奥さんが妊娠中も関係が続いていたので、深夜残業や出張などの理由を使って一緒にいたので、仕事も辛くなかったですね」

女子大卒で、男性に免疫がなかったと言う綾子さん。

「彼がデール・カーネギーや、ナポレオン・ヒルの本を読んでいて。最終的には、自分もいつか起業したいって目標をよく話していて。その時、一緒に手伝ってくれって言われたんです。だから、彼によく見られたくて仕事も手を抜けなかったですね」

しかし、綾子さんを待っていたのは残酷な結末だった。

「奥さんに不倫がばれてしまって、小さな会社だったので上司に呼び出されました。奥さんの希望は私が退社する事だったので、なんとなくいづらくなって休職後、退社しました」

しかし、これといって資格や専門性に特化したPCスキルもない綾子さんの就職活動は、困難を極めました。

「30歳を前に就活をしたのですが、全然見つからなくて。50社くらいはエントリーしたと思います。でも面接までたどり着けたのは数社で。仕方なく派遣で仕事を探しました」

数か月に及ぶ就職活動の末、派遣での再スタートを切った綾子さん。

不倫相手である男性と、とあるイベントPRを任された時が一番充実していたと言う綾子さん。しかし立ち仕事が多く、膀胱炎を患ってしまったそう。

派遣先で綾子さんを待ち受けていたのは、男性からのセクハラの嵐だった!? 〜その2〜に続きます。