円熟した骨太な役者たちが、新たな演出で挑む

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旗揚げから26年目を迎えた劇団・猫のホテル(以下猫ホテ)のことしの本公演はあの名作「苦労人」。猫ホテの上演歴の中で、ここまで上演回数を重ねる作品はなかった。「劇団の自信作」という作・演出の千葉雅子に4回目の再演について意気込みを語ってもらった。

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「この作品は、劇団のカラーが最も出ていまして。バカ哀しい人間の姿を泥くさく描き、役者の力技で突っ走る作品です。近年、少人数芝居や実験作など変則的な公演が続いたので、また原点に戻りたくなりました。そんなときは『苦労人』なんです」。

'97年の初演はこまばアゴラ劇場、'00年の再演は下北沢のザ・スズナリ、'07年の再々演は世田谷のシアタートラム、そして今回は東京の東に位置する錦糸町・すみだパークスタジオ倉で上演する。劇場の使い勝手もかなり違うはず。

「小空間でオムニバス風につくった初演から、シアタートラムでの坂道やきり穴を駆使したダイナミックな展開を経て、すみだパークスタジオでは、シンプルに。役者の体で勝負したいと考えています。今回、純粋な劇場ではないので、広い空間にながれる空気が違うように思います。そんな空間で、祭りのようなひとときの夢を共有したいと思っています」。

今回のゲストの一人・小林健一(劇団・動物電気)は'00年の再演にも出演していたという。

「小林さんとは、過去何回も組んでいまして、作品の重要な支えにもなっていただきました。『キャノンボール・ハイ』('02年)という作品では主役を担っていただきましたし、劇団史に深く刻まれている存在といえます。今回、ぼくとつ実直なキャラクターは同じ役ですし、全然違う役(女役)も担っていただいています。いい意味で変わらない、パワフルな芝居に、すっかり頼りきっています。全く老けないこばけんさん。肉体派として、われわれをけん引してもらっています。もう一人のゲスト、久ヶ沢徹さんは外部の公演でもご一緒したり、実は同い年だったりで、とても親近感のある役者さんです。また理性的な芝居とぱっと花の咲いたような存在感がとてもすてき。

『苦労人』は役者の技で突っ走る芝居ですから、そんな久ヶ沢さんなしには上演に踏み切れなかったと思います。久ヶ沢さんと小林さんとの出演なしには、今回の再演はなかったと言えます。劇団人メンバーは私も含めて、初演から20年の月日が流れています。味わいが、枯淡の味わいといいますか。立っているだけで、切ないときもあります。成長?どうですかねえ…。まだまだのびしろのある劇団だと、久ヶ沢さんに言われています。子供みたいなけんかをしたりしているからですが(笑)」と信頼あるゲスト陣にさらなる期待を寄せる。

室町時代から平成まで500年の時を駆け抜ける大作「苦労人」は7月11日(月)まで。