北朝鮮では、始終エリートの案内員が付き添う。北朝鮮では偶然の出会いや継続的な交流はないが、北朝鮮ならではの魅力もある。写真は船橋洞のメリヤス工場。筆者撮影。

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観光で行く場合、北朝鮮側の受入先となるのは朝鮮国際旅行社。観光でなら北朝鮮に行くのは意外と簡単だ。訪朝団の場合、受入先となるのは対文協(朝鮮対外文化連絡協会)と呼ばれる組織。訪朝団の場合は募集をかけた朝鮮総連の支部の許可が必要で、見学先も家庭訪問や工場など、観光よりも視察の要素が強くなるのも訪朝団の特徴。

観光でも訪朝団でも平壌国際空港に到着してから帰国の途に着くまで、2人以上の案内員と呼ばれる人が常に一緒。彼らは金日成総合大学や平壌外国語大学、日本でいうなら東大や東京外大を卒業した超エリートで、話す日本語は実に流暢。訪朝団でお世話になった案内員が日朝交渉で通訳として働いているのをニュースで見て驚いたりもする。

ホテルや商店、バーで働く人たちのことを接待員と言う。見目麗しい女性が多いが、彼女たちも主に平壌商業大学でサービスについて徹底的に学び、外国人と接することにも慣れたエリートたち。訪問先で説明をする人たち、家庭訪問で出会った家族たちもみな選ばれた人たちだ。そして基本的に滞在中、自由行動はない。つまり北朝鮮入国から出国まで、私たちは北のエリートたちにがっちりスクラムされた状態で決められた日程をこなして行くのだ。旅先でふらっと立ち寄った居酒屋で地元の肴に舌鼓をうち、意気投合した地元の人たちと酒を酌み交わすような偶然性や、LINEのIDを交換して帰国後も交流を続ける継続性はない。一期一会、一回限りの出会い。それもまた私を北朝鮮に何度も足を運ばせる魅力だったりもする。

■筆者プロフィール:北岡裕
76年生まれ。東京在住。主な著作に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店・共著)。一般財団法人霞山会HPと広報誌「Think Asia」、週刊誌週刊金曜日、SPA!などにコラムを多数執筆。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」でコラム「Strangers in Pyongyang」を連載。異例の日本人の連載は在日朝鮮人社会でも笑いと話題を呼ぶ。一般社団法人「内外情勢調査会」での講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。過去5回の訪朝経験と北朝鮮音楽への関心を軸に、現地の人との会話や笑えるエピソードを中心に今までとは違う北朝鮮像を伝えることに日々奮闘している。執筆と講演の依頼、お待ちしています!