母親目線で読んでしまった、恋愛本

「普通の幸せって、難しい」

私のところへ相談にやってくるお嬢さんたちは、学歴が高くて賢くて仕事もでき、おまけに可愛かったりステキだったりするのに、恋愛や結婚となると躓いてしまう人が多いです。

世間から見れば完璧な彼女たちに通じる、この症状は何だろう?と思いめぐらせていたところ、ある本に出会いました。

人気ライターであり、性暴力防止団体「サバイバーズ・リソース」理事でもあるトイアンナさんの新刊、『恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか?』(光文社新書)です。

読了後ぐったりしてしまったのは、私がこの本を完全なる「母親目線」で読んでしまったから。

自己肯定感は、親の接し方で決められる

異性と対等なパートナーシップを築けずに悩んでいる人たちは年々増えています。恋愛や結婚、さらには職場の人間関係にまで、自尊心のなさゆえ、自己受容できていないがために起こるトラブルは多いです。

自己受容ができない原因の大半を占めるのが、子どもの頃の「親の接し方」です。第一章の「愛されたいのに愛されない不器用な女性達」でも、第二章と第三章の自己受容できない女性たちが付き合ってしまいがちな「危険な男性目録」にも、親の接し方や放った言葉が彼女たちに大きな影響を残していることが明示されています。

私が主宰している婚活塾内のグループワークでも、個人カウンセリングの現場でも、「親」の問題には数多く当たります。私自身が、人間関係に不自由を感じている女性達と数多く接し、その原因をリアルに知っているからこそ、本著を読んで「人の親」として何度も立ち止まり、時に青ざめ、時に戦々恐々としながら、正しい親の姿とは何か?を考えさせられました。

いつも人道的ではいられない、子育ての現状

少し前にニュースになった「北海道7歳児置き去り事件」は、確かに「しつけ」としてやりすぎでした。

が、程度の差こそあれ、「これ以上ダダこねるのなら置いていくよ!」と言ったことのある親は全国にごまんといるはずです。他人事とは思えず、子どもの安否を祈るような気持ちで注視していた両親は少なくなかったでしょう(生きて見つかって本当によかったです!)。

育児の現場では、知力・体力・愛情を総動員していろいろなカードを切らないと回りません。いつでもどこでも子どもと同じ目線になり、「ベイビー、どうして今お友達に石をぶつけたの? ママに理由を教えて?」なんて言っちゃいられない。

「何してるの! ダメなものはダメ! 謝りなさい!」と血相変えて怒らなきゃならない時がゴロゴロあります。子育て論としては、普段ありのままのその子を愛していれば、多少叱られても自己肯定感は育つという説が有力とされています。しかし、子どもとは、私自身もそうでしたが「恐ろしいほど、ある部分だけを切り取って記憶している」ものであります。

子どもの心に穴を開けない親はいない

『恋愛障害』という本の中には、母親に「あなたはお姉ちゃんほど手がかからなくて助かったわ」と言われたことを、「私はお姉ちゃんほど愛されていないんだ」と受け取り、その寂しさを埋めるために自暴自棄なセックスを繰り返す女性に成長してしまった例も紹介されています。確かに姉妹を比べるのはよくない。でも、お母さん、きっとそんなつもりで言ってないだろうなぁ、と思うと何とも切ないお話です。

私はこのエピソードを読んで、『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(講談社)でご一緒させてもらっている二村ヒトシ監督がよくおっしゃっている「子どもの心に穴を開けない親はいない」というセリフがリフレインし、絶望と諦観を同時に食らうのでした。

子育てには、自己肯定感を増強することが重要

私には2人の娘がおり、長女は現在小学6年生。まさに思春期前の難しいお年頃で、「さーて、好奇心や欲望を満たすために、どうやって大人の目を欺こうかな〜!」と、毎日意気揚々としているシーズン1です。

まだ子どもっぽい部分も多いので何とか格闘しながら、これが成長するにつれてシーズン2、3と続いた日には大変だ!と将来に備えて体力維持に努めている母です。怖いのはやはり、私の言葉や態度で彼女が自尊心をなくしたり、彼女の自己肯定感を奪ったりしないであろうかということです。「犯罪に手を染めない、巻き込まれない」こととほぼ同等に自尊心が重要だと思わされるこの一冊。ぜひ、子育て中のご夫婦にも手に取っていただきたいです。

自尊心はエクササイズで取り戻せる

この本の著者は、「恋愛障害」を分析しているだけではなく、恋愛障害は一度刷り込まれた愛情パターンにすぎず、後から修正ができると説き、その方法を事細かに紹介しています。第五章で書かれている「自尊心を育てるエクササイズ」の13の習慣は、行動から心を変えるのに大変有効だと、私は読みながら何度も膝を打ちました。

本著のメインターゲットである,い弔睚数の男性と付き合っている、△箸砲く別れた男が忘れられない、D拘間恋愛経験がなく、焦っている、いい弔睥愛が短期間で終わり続かない、イ覆爾モラハラや束縛を受けやすいといったことに身に覚えのある女性達にとっては、この著書の一字一句が心にしみわたるでしょう。そして、明るい未来へと優しく肩を押されることでしょう。

「自分を愛し自尊心を健全に育むことは、大人になってからでも獲得できる」
どうしても親が子どもに「心に何らかの穴」を開けてしまうのであれば、そのセーフティネットを試さずに生きてしまうことこそリスクではないでしょうか?

今日より明日、明日より明後日、少しずつでも「自分のことを好きになる」という状態を作り出せれば自尊心は育ちます。自尊心が育てば、愛し愛されることが喜びに変わり、もともと無邪気に「自尊心」を持ち合わせていた人よりも、きっと何倍も慈しむことができるのではないでしょうか? 人生や、パートナーや、幸せってやつをすべて。

そして、それはなんてチャレンジしがいのある旅でしょうか。 本著を読んで多くの女性たちが前を向いて「旅立つ」ことを心から願っております。

(川崎貴子)