性的少数者の心理的苦痛に関する初の大規模調査が行われた(写真と本文は関係ありません)

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レズビアンやゲイ、バイセクシャルなどの性的少数者の人々が負っている心の傷に対する初の大規模な調査がまとまり、米医師会誌国際版「JAMAインターナショナル・メディシン」(電子版)の2016年6月27日号に発表された。

性的少数者の中でも心理的苦痛の度合いは異なり、もっとも健康被害が強いバイセクシャル(両性愛者)の人々は、同性愛の人々と異性愛の人々の両方から差別的な扱いを受けている可能性があるという。なお今回は、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人は調査されなかった。

大量飲酒、大量喫煙の割合が高い

研究を発表したのは、米バンダービルト大学のチーム。米疾病対策センター(CDC)が毎年実施している国民健康調査のうち、2013〜2014年のデータを対象に分析した。2013年から初めて「性的嗜好」に関する質問が盛り込まれたからだ。対象者の内訳は、異性愛が6万7150人、レズビアンが525人、ゲイが624人、バイセクシャルが515人だった(平均年齢は47歳)。

その結果、性的少数者(LGB)は全体として異性愛の人々に比べ、精神衛生と薬物使用(アルコールとタバコの大量消費を含む)の面で著しく強い健康被害があるが、性的少数者の中でも次のような違いがあることがわかった。

(1)中度または重度の心理的苦痛があると回答した人の割合は、ゲイ男性は25.9%だったが、バイセクシャル男性は40.1%と1.5倍だった。女性の場合でも、心理的苦痛があると回答した人の割合は、レズビアンが28.4%だったが、バイセクシャルは46.4%と1.6倍だった。

(2)大量飲酒者の割合も、ゲイ男性は5.1%だったが、バイセクシャル男性は10.9%と2倍以上だった。女性でも、レズビアンは8.9%だったが、バイセクシャルは11.7%と1.3倍だった。

(3)大量喫煙者の割合も、ゲイ男性は6.2%だったが、バイセクシャル男性は9.3%と1.5倍だった。ただし女性では、レズビアンが5.2%で、バイセクシャルの4.2%を少し上回った。

両方の側から心理的苦痛を受けるバイセクシャル

以上のことから、特にバイセクシャルの人に健康被害を抱えている人が多いことが確認された。研究チームのギルバート・ゴンザレス教授は、論文の中で、「バイセクシャルの人は、大多数を占める異性愛者からは『マージナライゼーション(へき地に住む者扱い)』、また、ゲイやレズビアンの人からは『スティグマ(差別的烙印)』という二重の心理的苦痛を受けている可能性があります」と指摘している。