中国の電波望遠鏡FAST、世界最大500m径の反射鏡設置が完了。地球外生命の発見に期待

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7月4日、中国貴州省に5年もの期間をかけて建設中だった電波望遠鏡「FAST」の反射鏡設置工事が完了しました。残す付帯工事もこの秋にはすべて完了する見込みで、稼働後はこれまでにない精度での宇宙観測により地球外生命など未知の物体や現象の発見に用いられる計画です。同種の電波望遠鏡としてはこれまでプエルトリコにあるアレシボ天文台が反射鏡の直径305mで最大でした。FASTの反射鏡は直径約500mとアレシボに対して65%も大きく、これにより単一の開口を持つ世界最大の電波望遠鏡の名を手にしています。

ただこの壮大な電波望遠鏡の建設にあたっては、周囲の集落で生活していた約9000人もの人が電磁波などの影響を受ける可能性があるとして立ち退きを迫られました。新華社通信によれば、立ち退いた人々には住居と一世帯あたりの年収に相当するという1万元(約15万円)が支給されたとのこと。中国ではこのような立ち退きの強制は珍しくないものの、その補償額をめぐっては住民側から不満が出ることもよくあるとされます。

話を電波望遠鏡に戻すと、FASTの感度はアレシボ天文台の10倍とされ、さらに天頂から40度の範囲を捉えられるとのこと。細かい工事やコンピューターソフトウェアの動作確認などがすべて完了するのは9月頃。FASTがひとたび稼働すれば、天の川銀河やその他の銀河から中性水素を観測したり、重力波やパルサーの活動を観測したりするために用いられる計画となっています。また、科学者らはFASTによって遠い銀河にある惑星などから生命の源となるアミノ酸が検出出来るかもしれないとも期待を寄せています。

ちなみに単純に大きさだけで地上最大の電波望遠鏡をランク付けをするならば、現時点ではFASTではなくロシアのRATAN-600が最大です。ただRATAN-600は一つの巨大な反射鏡ではなく、直径600mの敷地外周に建設された塀のような反射パネルを調整し、中央の受信機で観測するしくみです。