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●Google純正のAndroid One
ソフトバンクは5日、Y!mobileブランドからGoogleの「Android One」に対応したスマートフォン「507SH」(シャープ製)を7月下旬に発売すると発表した。Android Oneスマートフォンを取り扱うのは国内初で、価格は1万から2万円の間になる見込みだ。

○Android Oneとは

Android Oneは、Android OSを開発するGoogleが、各国の地場メーカーと協力してスマートフォンを開発するプログラム。現在、21カ国で展開されている。当初は、新興国市場において安価なスマートフォンを提供することを目的にスタートしたが、徐々に戦略の軌道修正が行われている。Google担当者によると、現在では「新興国限定ではなく、各国のニーズに合わせたものを作っていく」という方針だという。

Google自身は「Nexus」シリーズとしてAndroid OSを搭載したスマートフォンを展開している。Android Oneは、Nexusと同じく素のAndroidを採用することが前提で、最小限のカスタマイズで開発される。Nexusとの違いは、端末自体はメーカーが主体となって開発し、販売やサポートはメーカーが行う形になるという点だ。今回の507SHの場合は、キャリアであるソフトバンク、メーカーであるシャープ、そしてGoogleの3社が協力して開発された。

Nexusはハードウェアとソフトウェアを含めてすべてGoogleが責任を持つのに対し、通常のキャリアが販売するスマートフォンは、キャリアとメーカーが主体となる。Android OneではGoogleとメーカーが主体となり、今回のようにキャリア経由になると販売・サポートの主体はキャリアとなる。

NexusシリーズはGoogleがグローバルで販売するAndroidスマートフォンのレファレンス端末としても位置づけられている。Android Oneでは、UIが素のAndroidのままで、各地域のニーズに合わせたカスタマイズが加えられる。今回の507SHでいえば、防水・防塵性能とワンセグの搭載がそれにあたる。ほかにも、インドの端末ではデュアルSIMに対応しているそうだ。

Android Oneでは、基本的なUIはAndroid標準のものを採用すること、発売後18カ月間に最低1回以上のメジャーアップデートを保証し、最低24カ月間のセキュリティアップデートが義務づけられている。Nexusと同じ使い勝手であり、サポート期間中であればNexusと同じく最新のOSを必ず利用できるというのがメリットだ。

Android Oneスマートフォン投入の主導となったのはソフトバンクで、Y!mobile事業推進本部執行役員本部長の寺尾洋幸氏は、「昨年の秋ごろからGoogleと話をしていた」と語る。コンセプトとしては「日本のユーザーにニーズがある機能を搭載し、分かりやすいものを目指した」(寺尾氏)という。端末の開発会社としてシャープを選んだのは、キャリアとして古い付き合いがあり、Android Oneへのチャレンジを買って出たからとのことだ。

●Android「Nougat」にも対応
○防水性能やワンセグを搭載

507SHのハードウェアスペックなどをチェックしていこう。スマートフォンとしては、KDDIの夏モデルである「AQUOS U SHV35」と似ており、恐らくこのモデルをベース端末としたうえで、ワンセグ、防水・防塵性能以外のカスタマイズを除いたのだろう。おサイフケータイ機能も省かれているが、これはメジャーアップデートに追従できない可能性があるためだという。

その代わり、前述の通り毎月セキュリティアップデートが提供されるとともに、最新版Android OSが登場したら、シャープが検証した後、最新アップデートが提供される。メーカーの検証が入るため、Nexusシリーズに比べる少し遅れるという。直近では、次期Androidの「Nougat」も、リリース後数カ月以内の対応となる。

そのほかのスペックとしては、ディスプレイには約5.0インチHD IGZO液晶を搭載。チップセットはSnapdragon 620で、オクタコアのMSM8952を採用する。ストレージは16GB、内蔵メモリは2GB、通信方式は3Gがバンド1/7、LTEがバンド1/3/8/41。カメラはメインが有効画素数1,310万画素CMOS、サブが同500万画素CMOSを採用する。バッテリー容量は3,010mAh。

○「Android One」と「iPhone」の2本柱に

Y!mobileは、ソフトバンクのサブブランドとして主に低価格路線を進めている。最近ではブランド力向上のため、1年間は月額1,980円になる料金プランをスタートし、Y!mobileとしては最大の広告展開も行っている。寺尾氏は、「価格勝負は3〜5年までしか持たない」とし、価格以外の訴求点が必要だと説明。

そうした考えから、ここ2年間は、ヤフーとの連携を押し進めてきた。さらに今春には、中高生をターゲットに「iPhone 5s」も投入。3〜4月は新入学時期であり、初めてスマートフォンを持つ中高生にとって、iPhoneが持つブランド力は絶大なものであり、そこを狙ったという。結果、Y!mobileとしての販売台数は3月で前年同期比260%、4月で前年同期比280%と大きな伸びを示し、狙いが的中した。iPhoneの取り扱いを開始しても、販売数ベースでは依然としてAndroidも強く、寺尾氏はバランスが取れていると分析する。

これに加え、「Googleによる素のAndroid」を採用したAndroid Oneを主力に育てることで、iPhoneとAndroid Oneの2本柱としていきたい考えだ。

(小山安博)