「いいかげんにしなさい!」「いいからさっさと動きなさい!」「ちゃんとしなさいって言ってるでしょう!」。そんな風にいくら大声でガミガミ怒っても、肝心の子どもにはあまり伝わっていないみたい。うちの子ってどうしてこう手がかかるの?

もしもあなたが今そんな悩みを抱えているのなら、もしかすると原因はあなた自身の「伝え方」にあるのかもしれない。“子育て練習講座の講師”として活動し、二児のパパでもある伊藤徳馬さんに、「子どもに伝わる叱り方」について話を聞いた。

「怒った態度やきつい表現でないと、子どもにメッセージが伝わらないと思っていませんか? 実際は逆。演説の上手い人はむやみに声を張り上げたりはしません。親が言葉を“投げつける”ような攻撃的な態度でいる限り、子どもの心には言葉があまり響かないのです」(伊藤さん 以下同)

●そばにしゃがんで、目線を合わせる

では親として伝えたいメッセージを子どもの耳に届けるためには、具体的にどうすればいいのだろう? 子どもに素直に話を聞いてもらうためには、3つのポイントがあるという。

「ひとつめは、子どものそばでしゃがんで目線を合わせて話しかけること。自分よりずっと体の大きな大人が立っている状態で叱ると、子どもは威圧感から心に余裕がなくなってしまいます。距離が近くなれば言葉も届きやすくなり、声を荒げる必要もありません」

これは聞いてもらう「環境」を整えるということ。また、テレビがついている部屋で説教をしても、子どもの目線はテレビに流れてしまうので親にとっては“負け戦”だ。きちんと叱るべき場面ではテレビを消してから話をしよう。

●気持ちに理解を示すキーワードで子どもに寄り添う

2つめのポイントは「気持ちに理解を示す」ことだ。「何やってるの!」と頭ごなしに叱る前に、「○○したかったんだね。気持ちはわかるよ。でもね」と理解を示す枕詞をつけて話しかけてみよう。

「お兄ちゃんが弟を叩いたとき、『何やってるの、お兄ちゃんなのに!』という叱り方はNG。『弟に遊びを邪魔されてイヤだったんだよね。でも、たたくのはよくないから“やめて”と口で言おうね』と心に寄り添ってもらったことがわかれば、子どもは素直に納得してくれる可能性が上がります」

●「うちのルール」を決める

そして3つめのポイントは、家庭内でちゃんとルールをつくること。

「“昨日はOKだけど今日はダメ”“普段はダメだけど急いでいるときはOK”ということが続くと、子どもは混乱して受け入れにくくなります。『アイスを食べるのはお休みの日だけ』『テレビは30分まで』など、統一ルールを決めておきましょう」

この場合、重要なのは夫婦間でルールを統一させること。ママが「ダメ」という態度でいるのに、パパが「たまにはいいじゃん」と破らせてしまうと意味がない。夫婦でしっかりルールを話し合っておくことも肝心だ。

ガミガミ怒っている大人の言葉なんて、子どもでなくともできれば聞きたくないもの。だがいけないことをきちんと叱るのは親の役目。環境を整え、気持ちに理解を示し、ルールを提示する。まずはこの3つを実践すれば、親の言葉はきっと子どもの心にしっかり届くようになるはずだ。

(阿部花恵+ノオト)