「とと姉ちゃん」キーマンが世の母に告ぐ!痛烈すぎる説教3選

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NHKの朝ドラ『とと姉ちゃん』が絶好調! 出勤前にウルウルしながら視聴して引いたばかりのアイライナーをにじませたり、ご飯を食べながら主人公を応援したりして、朝の15分間を過ごしている方も少なくないでしょう。

主要登場人物のモデルとなっているのが、女性向け雑誌『暮らしの手帖』の創刊者、花森安治。

いつの時代にも「今の親はなっとらん!」なんてことを言う人はいるものですが、往年の『暮らしの手帖』の中の、花森安治による“今の親”批判がスゴい!

今回は、『BizLady』読者のおばあちゃん、お母さん世代に向けた痛烈な説教を紹介していきましょう。

「昔はよかった」なんて、したり顔で言ってくる上の世代の経験談は、かなり“美化”されてるんだ……とおわかり頂けるかもしれません。


■「世のお母さま方に告ぐ」に続く言葉がヤバい……(1950年)

<世のお母さま方に告ぐ。あなたにどれだけ可愛いものであろうと、あかの他人にとっては、あなたほどは大切に思ったり、可愛いく思ったりする気持はないものなのです。ウソだと思ったら、一度自分がよその子供のことを考えてごらんなさい>

今から65年前。地域で商いをしたり農業をしたりしていた男性たちが、サラリーマンとなり、母親がひとりで子育てを担う家庭が増えていきます。

母親は子どもの勉強に熱心になり、「受験戦争に勝って、お金を稼ぐようになって欲しい」という夢を子に投影し始めます。

子どもがチヤホヤともてはやされる時代になることに違和感を覚える花森氏。「子どもはアクセサリイではない」なんてことも書いています。


■「日本の場合、しつけることは叱ることだ、と思ってるんじゃないかな」(1954年)

子どものしつけというのは、いつの時代も普遍的な悩み。花森氏は、母親がその時の気分で子を叱り、思春期になって言うことを聞かなくなったり、勉強ができなくなったりすると、学校のせいにしたりする……と超辛口評論。さらには、

<このごろの若い夫婦ですね、結婚してまだ子供がない、子供を生むか、生まないか、という問題があるわけですね。

その場合は、いま子供を生んで育てられるか、ということを考える。その育てられるかという意味は、経済上の問題なんですね。自分は親としてやっていけるか、その能力が自分にあるか、自分の今の人格でやれるか、そういったことは考えていない。ただ経済だけですよ>

62年前のコラムですから、『BizLady』読者のおばあちゃんたちが子育て真っ最中の頃の記事です。

今、テレビで評論家がこんなことをいったら、各方面で「じゃあお金がなくて、どうやって生活するんだ」と炎上しそうな言葉ですが、花森氏は、舌鋒鋭く女性向け雑誌で書いていたんですね。

“お金があるかないか”だけでなく、子どもを社会に出すための“責任”を負い、しつけを学校まかせにせずに、親が手本になることが大切だと説いています。

■「親であるということは、いいかえると、じっとがまんする、ということだ」(1972年)

1972年執筆の「未来は灰色だから」というコラムからの抜粋です。当時の日本は、まだ発展途上。今の中国の都市のように排気ガスで灰色にかすんでいることもあり、花森氏は「ぼくらの子どもや孫たちの地球は今より決してよくはなっていない」と、子どもたちの未来を憂います。

<ぼくらが、いま、親として、子どもためにしてやれることは、その灰色の未来に耐えて生きて行けるように、神経と体力に、したたかな抵抗力を、なんとかしてつけてやることではないだろうか>

子ども達のキケンは保護者の大きな声によって、全て日常から“除去”されていく。花森氏は、親は手や口を出すのをガマンして、「子どもをハラハラとしながら見守ることが大切」と述べています。

危機回避は大切ですが、同時に子どもの“危機管理”という学びの機会が奪われてしまうことを憂いていたようです。

以上、花森安治のお説教についておとどけしましたが、いかがでしょうか?

社会の空気を切り取って世の主婦に届けてきた『暮らしの手帖』は、広告主を持たずに、電化製品や、商業主義を厳しく批判してきました。

時には、世に出回り始めたトースターで4万3千88枚もの食パンを焼き比べ、「どれもチャチすぎる。情なし、日本の<大>メーカー諸君」という一言でバッサリ切ったという有名なエピソードもあります。

社会の“普通”にかみついていた天才、花森氏の登場する『とと姉ちゃん』は、今後もっとおもしろくなるでしょう。共通のネタの少ない水と油のような年配社員と若手の社員をつなぐ“乳化剤”的なドラマになるはずです。