5日、ブドゥラ駐日EU(欧州連合)大使が記者会見。英国のEU離脱問題について見解を明らかにした。また日本との戦略的パートナーシップを強化し、科学、サイバー、宇宙など多分野での協力のほか、EPAの早期締結を推進したいと語った。

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2016年7月5日、ヴィオレル・イスティチョアイア・ブドゥラ 駐日EU(欧州連合)大使(元駐中国ルーマニア大使)は日本記者クラブで会見、英国のEU離脱問題について見解を明らかにした。英国の国民投票結果は衝撃的な出来事だったとしながらも、「EUには明確なルールが存在する。秩序だった離脱でなければならず、法的な安定性の確保が重要だ」と強調。さらに日本との戦略的パートナーシップを強化し、科学、サイバー、宇宙、エネルギーなど多くの分野での協力のほか、EPA(経済連携協定)の早期締結を推進したいと強調した。

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会見要旨は次の通り。

EUには複合的な背景がある課題がある。経済成長を取り戻さなければならず、移民問題など課題も抱えている。

英国の国民投票で「離脱」が多数を占めたことは残念な結果で、衝撃的な出来事だった。EUは民主主義を標榜しており、投票結果を尊重し受け入れる。煽情的な反応も見られるが、今後EUの将来にどう影響するか、大局的な観点に立って次の2点を基本に対応していく。

(1)新しい事態に対応するために、EUには明確なルールが存在する。秩序だった離脱でなければならず、法的な安定性の確保が重要だ。EUは平和、繁栄といった共通の価値観を持ち、第2次大戦後の和解、民主主義強化などの経験を共有している。EUは過去だけの存在でなく現在、未来に関わっている。
英国以外のEU 27カ国は最近開催されたブリュッセルでの会合で、「全会一致で対応すること」を決定した。EU首脳は9月の会合で今後の欧州再活性化を話し合う。欧州議会でも、英離脱問題を討議する。

(2)EUは英国の離脱後も、4億4000万人を擁する開放的で魅力的な市場であり続け、世界で重要な役割を果たす。成長、投資、貿易などを含め、国際秩序の提唱者であり続ける。

英国の離脱でEU内のパワーバランスが変化するとの見方があるが、民主主義のプロセスを踏むのでその考え方は賛成できない。新しい事態にどうEUを調整していくか課題だが、27の国が様々な力に応じて尊重し統合が進むようにする。

来年には加盟国で選挙など政治日程が予定されている。雇用、経済成長、科学、エネルギーなどが主要テーマとなる。グローバル化競争にいかに打ち勝つか、移民問題も含めオープンかつ民主的な討論を通じて対応していきたい。平和と安定のリソース(基盤)がEUにはある。

EUと日本の戦略的パートナーシップをさらに強化したい。科学、サイバー、宇宙、エネルギーなど多くの分野で協力できる。英離脱投票のあと岸田文雄外相とも協議した。日EU間のEPA(経済連携協定)をできるだけ早く締結することで一致している。(八牧浩行)